「セリエAを戦うプロサッカー選手の間では試合後のピザ食がブーム?」
ピザの国イタリアで、そんなエピソードが話題となっている。
EURO2020でナポリ風ピザ
2月12日のナポリvsインテル戦後、スターディオ・ディエゴ・マラドーナに40枚のピザが配達された。注文の主はインテルのマッシミリアーノ・ファリス助監督。ゴールを決めたエディン・ジェコをはじめとした選手一人ひとりやスタッフに、ナポリ発祥のシンプルなピッツァ・マルゲリータなどが届けられたという。
ファリス助監督の知り合いが市内のピッツェリアを紹介したとのことで、店主は『コリエレ・デッラ・セーラ』の取材に対し「自分はナポリのファンだが、チャンピオンにピッツァを食べていただけるのは光栄なことだ」と語っていた。
先日もミランFWラファエウ・レオンが、2月9日のベネツィア戦後にトップデビューを果たしたDFルカ・スタンガと並んでピザを食べている様子を自身のインスタグラムにアップした。また、8月にはローマのジョゼ・モウリーニョ監督がアウェイのサレルニターナ戦後のチャーター列車の中でピザに舌鼓を打つ様子をアップしていた。
徹底した節制ぶりで知られるクリスティアーノ・ロナウドも、ピザは“ご褒美”として食べていたそうで、ユベントス時代にはアウェイのウディネーゼ戦後に差し入れで食べたピザが美味しく、店主を褒めたという逸話が残っている。
イタリア代表でもピザは食べられているという。カフェテリア方式のメニューの1品として加えられており、昨年のEURO2020ではロレンツォ・インシーニェの友人のピザ職人が呼び寄せられ、焼きたてのナポリ風ピザが選手に振る舞われた。
シンプルなピザがおすすめ
アントニオ・コンテ監督(現トッテナム)などからは食用を厳禁されているピザだが、疲労回復の理由などから容認しているところもある。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によれば、カリアリやエンポリなどは試合後に必ずピザが出てくるという。
スポーツ選手やクラブの栄養管理を担当する栄養士のサーシャ・ソレテンティーノ氏は『ガゼッタ・デッロ・スポルト』に対し「理論上は問題ない。努力を払った後でメンタル面における“ご褒美”の意味合いもあると自分は解釈している。また、炭水化物は疲労回復に必要となってくる」と語り、「理想的なのはオイルとパルメザンチーズだけのフォカッチャ。あるいはトマトソースだけのピザだが、トマトソースの塩分が強すぎるのは良くない。モッツァレラチーズは避けた方が良い」とピザの種類も推奨していた。
また、ナポリの栄養士を務めるマルコ・ルフォロ氏も『ラ・レプッブリカ』に対し「我われは選手にピザを禁じてはいない。質の高い発酵生地を使ったピザなら、1週間に1回程度であれば食べても良い」と発言していた。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。