サレルニターナが、今季のセリエAから除外される可能性が出てきた。経営譲渡先を探していたが、12月31日の期限に間に合わなければ登録抹消となる。
新オーナー就任の動きなし
同クラブは2011年から、ラツィオのクラウディオ・ロティート会長が共同経営の形で経営に参画していた。ところがセリエA昇格にあたり、同じカテゴリーのプロリーグにおいて同一オーナーが複数クラブの経営に携わることを禁じたイタリアサッカー連盟(FIGC)の規定に接触するため、無関係の経営管理者の下で一時的にクラブ運営をしつつ、新オーナーを探すこととなっていた。
ところがデッドラインが迫ってもその動きはなく、イタリアサッカー関係者の不安は増大している。
FIGCのガブリエレ・グラビーナ会長は12月21日の理事会の後、地元メディアに対して「12月31日までに買い手を確保し45日以内に譲渡手続きを完了するか、さもなければ1月1日に除外だ」と断言した。
レガ・セリエAの代表者会議では今季終了までに猶予を伸ばしたらどうかとの提案もなされているが、「信用も大事だ。サレルニターナの経営が健全なのに買い手がつかないということなら問題である」と却下する考えを示した。
「オファーはあったと思う」
もしサレルニターナがシーズン途中で登録を抹消された場合、規定に沿えば今季のセリエAは19チームで行われることとなり、これまでの試合成績も無効となって勝ち点の修正などがなされるとともに、サレルニターナは2カテゴリーの自動降格、降格クラブ数も3から2に減ることになる。
サレルニターナのアンジェロ・ファビアーニSDは動画配信サービス『DAZN』のインタビューに対し「具体的なものに発展するオファーはあったと思う。我われは今、検討しているところだ」と強調した。
これを受けて、一般紙『ラ・レプッブリカ』のカンパーニャ州版は「再生可能エネルギー開発会社のオーナーであるドメニコ・チェッルーティ氏率いる投資家集団が獲得へと動いている」などと報じた。だが、名前を出されたチェッルーティ氏は「私からはオファーが一切出されることはない」と否定、「買い手が見つかるように喚起はしておいた。クラブが存続することを願っている」と声明を出すにとどめた。
12月27日にはクラブの株主会議で決算報告が行われる運びとなっているが、「そこまでに役員会が買い手を見つけて承認を得なければ経営の続行はなされない」と地元メディアの間では心配の声が上がっている。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。