ジェノアは11月6日、ダビデ・バッラルディーニ監督を成績不振により解任。翌7日、後任として元ウクライナ代表監督のアンドリー・シェフチェンコ氏を招聘することを発表した。シェフチェンコは8日にもイタリアに入国し、正式にサインをするという。
ネームバリュー重視の人選
クラブの成績は開幕から低迷。第12節を終了した時点で1勝6分5敗、勝ち点9しか稼げず、降格圏手前の17位に沈んでいる。バッラルディーニ監督に対する経営陣の評価は低く、地元紙の報道ではジェンナーロ・ガットゥーゾ氏にも監督就任の打診がなされていたという。
11月5日に行われた第12節のエンポリ戦では終盤に追いつき敗北は逃れたものの、評価は変わらずに解任となった。
ジェノバを本拠とする一般紙『イル・セーコロ・デーチモノノ』などの地元紙によれば、先日エンリコ・プレツィオージ前会長からクラブの経営権を取得した投資会社の『777パートナーズ』は、海外にも通じるネームバリューを熱望。元シャルケ監督のドメニコ・テデスコ氏やユベントスの前監督だったアンドレア・ピルロ氏なども検討した結果、最終的にシェフチェンコ氏に白羽の矢を立てたという。
ミラニスタたちも反応
かつてミランで活躍し、2004年のバロンドールにも選出されたスターは、ウクライナ代表監督としてEURO2020での8強入りに貢献。その後は契約満了に伴って退任し、フリーとなっていた。そんなシェフチェンコには元ミラン副会長のアドリアーノ・ガッリアーニ氏のいるセリエBモンツァからも声がかかっていたものの、セリエA挑戦の意欲が勝ってジェノアと合意に達し、3年契約を締結した。
シェフチェンコにはスタッフの人選を自由にできる権限が与えられており、ウクライナで助監督を務めていたマウロ・タソッティ氏や戦術担当のアンドレア・マルデーラ氏らの加入も内定している模様だ。
『777パートナーズ』は11月15日に買収手続きを完遂させて正式にクラブの経営権を握るが、新監督を迎えた上で新体制の船出を図ることになる。
シェフチェンコ氏のジェノア監督就任にあたっては、ミラニスタたちが熱狂的な反応を見せている。ネット上では「これは将来のミラン監督就任も期待していいのか?」という自分たちのクラブへの希望や「これでジェノアは2番目に応援するクラブになった」とジェノアにも好意的な反応を示す者もいた。
一方、ジェノアーノたちの間では「監督ではなくFWとして試合に出てもらった方が得点力不足の解消に結び付くはずだ」などと攻撃陣の層の薄さを真っ先に嘆く声もあった。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。