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アイドルはデ・ロッシ。サッスオーロの16番、フラッテージに注目

2021.10.31

 セリエAで今、注目度を著しく上げている若手MFがいる。サッスオーロのダビデ・フラッテージだ。ユベントスに移籍したマヌエル・ロカテッリの代わりに中盤の主力に定着すると、第9節ベネツィア戦、そして第10節ユベントス戦で2試合連続ゴールを挙げた。

 ユーベ戦では細かいパスワークの中で前線へと巧みに飛び出してパスを受け、正確なシュートを流し込んで先制点。疲労のため71分に退いたが、チームの勝利に結び付く重要なパフォーマンスを披露した。

様々な役割をこなす

 フラッテージはローマの下部組織育ちで、18歳の時にサッスオーロが保有権を獲得する。2018-19シーズンから3年間はアスコリ、エンポリ、モンツァとセリエBクラブへとレンタルされながら”修行”を積み、それぞれのクラブで実績を築いた。

 中盤としてのトータルバランスに優れる一方で、ゴール前に飛び出して得点に絡むセンスも持ち合わせており、エンポリで5ゴール、モンツァでは8ゴールと目覚ましい数字を挙げた。

 今シーズンはサッスオーロに呼び戻されると、アレッシオ・ディオニージ監督の高い評価を受けて残留が決定。以降、開幕からはずっとスタメンを守り続けている。当初は[4-2-3-1]のセントラルMFの一角を任されていたが、飛び出しに優れた本人の特性を生かして中盤の役割も若干変更。レジスタのマキシム・ロペスを中盤の底に置き、前めのポジションを取るインサイドMFに充てがわれ、精力的なプレスとパスワーク、そして前線への攻撃参加などの役割を振られている。

ロカテッリに続けるか

 前線に飛び出すスタイルは現役時代のクラウディオ・マルキージオや、ローマに所属していたケビン・ストロートマン(現ジェノア)を手本に磨いたものだという。ただしフラッテージ自身が強い尊敬の念を覚えているのは、ローマの下部組織時代の大先輩ダニエレ・デ・ロッシだ。 フラッテージは10月29日付の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューに応じ、「自分のアイドルで、実際に彼への敬意から背番号も同じ16番を選んでいる」と語った。

 さらなる成長をたどれば、やがてはロカテッリ同様に膨大な移籍金収入を約束する存在になるかもしれない。サッスオーロのジョバンニ・カルネバーリGMはフラッテージについて地元メディアに対し「他のクラブで経験を積んだが、我われとともに歩んできた存在。若手に期待して成長を促進させるという、我われの哲学の下で成長してきた選手だ。当然ロカテッリと同じ運命を辿ることを期待する」と話した。

 一方、ディオニージ監督は10月30日の記者会見で「継続して良いパフォーマンスをしている。前の試合(の結果)に満足して慣れたところを見せないようにしてほしい」とさらなる奮起を要求した。


Photo: Getty Images

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神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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