元フランス代表のフランク・リベリーが、サレルニターナに加入することで合意した。本人は9月6日にサレルノ入りしており、メディカルチェックを経て正式契約となった。
1年契約、様々なオプション
リベリーは2019年から2年間フィオレンティーナに所属していたが、2021年6月に契約切れを迎えていた。本人は契約更新の意思を公言していたが、フィオレンティーナ側から働きかけはなし。一旦は次期監督に就任が決まっていたジェンナーロ・ガットゥーゾ氏とも連絡を取り合っていたが、同氏の監督就任が破談となった影響もあってかその後の進展はなく、新たな所属先を探していた。
なお、イタリアにおいては、契約解除となった選手は8月31日の移籍登録期限を過ぎても翌年3月を期限にプロサッカークラブと契約ができることになっている。
退団後にはサンプドリア、エラス・ベローナ、そしてトルコ1部のファティ・カラギュムリュクからオファーが届いていたが、いずれも契約合意には至らなかった。そんな中、交渉を進展させたのはサレルニターナだった。
地元紙『イル・マッティーノ』によれば、代理人からの照会を受けたサレルニターナは交渉を進め、9月3日の夜から4日の朝にかけての間に基本合意が成立したという。
契約は2022年6月までの1年間で、チームが1部に残留した場合は自動的に1年間延長されるオプションが付加されている。また、年俸はフィオレンティーナ時代の400万ユーロ(約5億2000万円)から抑えて150万ユーロ(約1億9000万円)となり、ゴール数などによってボーナスが加算される契約になるという。
街の雰囲気も加入の一因に
本人サイドとの交渉に当たった強化部門の責任者であるアンジェロ・ファビアーニSDは、地元ローカルテレビ『テレコローレ』のインタビューに応え、「契約はサインを残すが、事実上決まったと考えていただいて差し支えはない」と契約の大筋合意を断言した(編注:その後、正式契約に至り本拠地で背番号7のユニフォーム姿がお披露目された)。
そして「契約外となった選手にはかなりのビッグネームもいて、勧められた1人がリベリーだった。我われのCEOに知らせたところ、すぐにやる気になってくれた」と契約を結んだ際の背景事情について説明し、「交渉をした時、リベリーはチームについての情報も頭に入っているようだった。おそらくクラブのここ数年の歩みを見ていたし、サレルノの街の様子も含めて判断を下したのだろう」とリベリーがサレルニターナを選んだ理由を本人に代わって語った。
サレルノはナポリから75kmほど南に位置し、アマルフィやポジターノなど一大観光地の玄関口としても知られている。地元紙によれば、リベリーは街の環境にも感銘を受けており、彼自身と家族のためにアマルフィ海岸沿いの邸宅が準備されているという。
なお、サレルノの街はまさかのリベリー加入でフィーバー気味。名前と背番号が非公認で入ったレプリカユニフォームが勝手に売り出され、クラブが「肖像権を守るために法的措置を取る場合がある」異例の警告を出すほどだった。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。