8月21日に開幕したセリエAの第1節では、10試合で合計7人もの退場処分が出された。ボローニャvsサレルニターナ戦では両チーム合わせて3人が退場処分となり、ローマvsフィオレンティーナ戦では各チームに1人ずつ、あとはサッスオーロvsエラス・べローナ戦、そしてナポリvsベネツィア戦で退場者が出た。1節における退場者の歴代最多記録は11人となっているが、7人という数はやはり多めだ。
平手打ちで退場
その中には、物議を醸す決定もあった。ナポリvsベネツィア戦でナポリFWビクター・オシメーンが退場処分となった件だ。エリア内でのセットプレーの際、マークについていたMFダーン・ハイマンスの顔を平手打ちし、その結果ジャンルカ・アウレイアーノ主審の目に留まり退場処分となった。
ハーフタイムに映像配信サービス『DAZN』のインタビューに答えたベネツィアDFマッティア・カルダーラは「僕は肩を向こうに向けていたのだけど、審判がすぐにカードを取り出したのは見た。その後にVARも介入しなかったから、決定には自信があったのだろうと思う」とコメントしていた。
その一方、地元紙の中には「規則に厳格すぎる。危険な暴力行為というほどの接触ではなかった」と批判するところもあった。
判定基準に疑問の声も
8月24日、レガ・セリエAのスポーツ審議委員会は第1節の処分を正式に決定し、オシメーンに対しては「試合中、ボールを保持していた相手の頬を故意に叩いたこと」を理由に第2節ナポリ戦、第3節ユベントス戦の2試合の出場停止処分を言い渡した。
ナポリは異議申し立てを提出する意向で、1試合分の消化を受け入れた後でリーグの休止期間の間に仲裁機関での控訴審に臨む考えだという。ナポリ側のマッティア・グラッサーニ弁護士は『コリエレ・デッロ・スポルト』のインタビューに対し「スポーツ審の査定の間違いが考えらえるから望みはある。プレーは続行されていたし、ハイマンスはオシメーンの手によってプレーの影響を受けたわけではなかった」と見通しを語った。
一方、第1節については全体的に、ファウルの判定基準について疑問の声が上がっていた。2人の退場者を出したボローニャのミハイロビッチ監督は「我われは(セットプレー時に)ゾーンディフェンスをしているというのに、なぜファウルを取られる勢いで当たりに行ったとみなされるのか」と語った。
また、衛星テレビ『スカイ・イタリア』でコメンテーターを務めたファビオ・カペッロ氏は「ファウルのたびにカードが出されるなんてあり得ない。イングランドでもそうだし、また今回のEURO2020でも笛はほとんど吹かれなかったではないか。この方向に改革を進めていかなければならない」とジャッジの方向を批判した。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。