ローマは8月17日、チェルシーからFWタミー・エイブラハムを獲得したと発表した。契約は2026年6月までの5年間。チェルシーには4000万ユーロ(約51億円)の移籍金が支払われる。
ジェコの後釜として獲得
チェルシーにFWロメル・ルカクを引き抜かれたインテルがエディン・ジェコの獲得に踏み切ったため、後継者の獲得を迫られたローマは、ジョゼ・モウリーニョ監督の希望で若いエイブラハムを第一希望に据えた。
地元紙各紙の報道によれば、チェルシーとは比較的早く妥結に至ったものの、プレミアリーグでのプレーを希望する選手側から難色を示された。そのため、チアゴ・ピントSDは数日間ロンドンに滞在して交渉を図り、8月13日までに合意を得た。
そしてエイブラハムは15日の昼にロンドンからローマに到着。この日、イタリアは祭日だったが、到着地のチャンピーノ空港では100名近いファンと地元メディアに出迎えられた。
PCR検査を受けた後、市内の病院でメディカルチェックを受け、トリゴーリアの練習場に出向いて契約書にサインをする運びとなった。
GKルイ・パトリシオ、DFマティアス・ビーニャ、FWエルドフ・ショムロドフを完全移籍で獲得し、DFロジェル・イバニェスとDFブライアン・レイノルズの買い取りも行使したローマは、目下欧州のクラブでも五番目に高額な9775万ユーロ(約125億円)の資金を移籍市場に投じることとなった。
とりわけ前線には、レアル・マドリーからレンタル中のボルハ・マジョラルと合わせると、強力な若手CFを3人そろえたことになる。
前線ばかりの補強に批判も
もっとも、補強方針には批判もあり、ベテランジャーナリストであるマリオ・スコンチェルティ氏は「モウリーニョからはCBとレジスタを要求されていたはず。一番人材が足りているようなところを補強し、要補強箇所をそのままにするとは、私に言わせれば混乱している」と指摘した。
エイブラハムはクラブの公式HP上でコメントを発表し、「自分のことを欲しがっているかどうかはわかるもので、ローマはそれをはっきりと僕に伝えてくれた。タイトルを争うに相応しいクラブ。高い目標に到達できるようチームを助けたい」と抱負を語った。
エイブラハムは労働ビザ取得などの手続きのためロンドンに戻るが、イタリアに再入国する場合は5日間の自粛隔離の対象となる(メディカルチェックと契約締結は120時間以内のビジネストリップにあたるため免除された)。
地元メディアによれば、ローマは地元の保健局と協議し、“バブル方式”での練習参加、ならびに8月22日のフィオレンティーナ戦への参加が認められるよう動く意向だという。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。