EURO2020でイタリアを51年ぶりの優勝に導いた主将ジョルジョ・キエッリーニが、所属のユベントスで新シーズンを戦う意向を明らかにした。
7月29日、かつてプレーした地であるリボルノ市からEURO2020優勝の功労により表彰されたが、その席で「月曜日(8月2日)にはクラブに合流する予定だ」と話した。
残留は既定路線だった
リボルノの下部組織で育てられ、ユベントスに引き抜かれたのは2004年。その後1年のレンタルを経てチームに加入したのは2005年と、16年間ビアンコネロでプレーし続けた。やがてジャンルイジ・ブッフォンの後を継いで主将に就任したものの、契約そのものはEURO大会中の6月30日で切れていた。
だが、両者の間では特に問題はなし。「僕の方からは特にクラブに対して問題を起こさないよ」と事前に語り、契約延長は既定路線だと考えられていた。
その後、EURO2002終了後に音信不通となったことで地元メディアの間では「給料面で折り合いがつかずに退団か」などと不和が囁かれ、「マッシミリアーノ・アレグリ監督が就任しなければアメリカに渡ってMLS挑戦を決めていた模様」などとも書かれていた。
ただ、クラブ上層部の間では残留で決まっていた。アレグリ監督は7月27日の記者会見で「キャプテンはキエッリーニだ」と断言。アンドレア・アニェッリ会長は「もう20年近くもプレーをしている彼に対して、契約のためにバカンスを中断させることなどおかしいと思った」と発言し、「書く前にきちんと情報を得ていただきたい」と苦言を呈していた。
次のW杯を見据えてプレーか
それ受けてキエッリーニ自身も「アニェッリ会長もアレグリ監督も、もうきちんと詳細を語ってくれた」として、とりあえず今後もユベントスでプレーをする意思を明確にした。
「アレグリ監督がいるところに戻って、もう少し小さいカップを掲げたいと思っている。もう満腹感も解消しつつあるし、胸にスクデットがないことが自分にはモチベーションになるよ」と、新シーズンに向けてやる気をアピールした。
その新契約について『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は「現在350万ユーロとなっている年俸は250万ユーロまで減額し、2022年のカタールW杯までカバーする契約期間になる模様」と報じている。EURO2020の大会期間中は「もう僕はすべてを代表に出し切った」とも語っていたが、契約が上記の形態になるということは、イタリア代表も引退せず、次回のW杯までを見据えてプレーすることを意味する。
新シーズンに向けて個人的な調整をすでに開始しており、7月29日の表彰式の前にはリボルノのアマチュアクラブに立ち寄って自主トレを積んでいたという。17年目のシーズンに向けて、準備を整えている。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。