コパ・アメリカでチリ代表に不祥事。ビダルらが部外者をホテルに招き入れる
新型コロナウイルス感染症の被害が大きいブラジルでの開催が決まったことで、世間の議論を引き起こしたコパ・アメリカ。
グループステージ全5節中3節までが終了した時点で、CONMEBOL(南米サッカー連盟)は「大会関係者の陽性率(コロナ検査を受けた人数に占める陽性結果の割合)は0.9%」と発表し、開幕直後にブラジル保健省が公表した「1.7%」を下回る数字であることを強調。しかも、陽性者の大半は「オペレーターや外部委託職員」だったとして安全性を主張している。
一方、スペイン語版『CNN』では、パーセンテージではなく「140件」という陽性結果数を報じ、アルゼンチンのTV局『Telefe』をはじめとする各国の主要メディアも「感染は増え続けている」との見方を示している。
選手5人が違反行為を犯す
そのような懸念が依然続く中、6月21日のウルグアイ戦を前に、チリ代表の主力アルトゥーロ・ビダルとガリー・メデルが宿泊先のホテルに部外者の美容師を招き入れるという不祥事を起こした。
コパ・アメリカ参加中のチームは新型コロナ感染防止対策のガイドラインで定められた通りバブル方式を守り、外部から隔離された状態を維持しなければならない。そのため、部外者との接触はもちろん、バブルの中に第三者呼び入れることも厳禁だが、ビダルとメデルは自身のインスタグラムアカウントでヘアカットをする様子をライブで披露しただけでなく、その後、美容師と一緒に撮った写真を投稿。
公開された動画には、他にエドゥアルド・バルガス、パブロ・ガルダメス、ギジェルモ・マリパンも映っていたため、選手5人が違反行為を犯したことが明らかとなった。
当初、SNSでは「チリの選手数名が女性を呼んでパーティーを開いた」という情報が拡散され、「憤慨したマルティン・ラサルテ監督が辞任を考え、チーム内の雰囲気も悪化している」との噂が流れたが、これについてはANFP(チリプロサッカー協会)の広報主任ジャンフランコ・ダサローラが否定。
「ここで起きた唯一の違反は、美容師が(ホテルに)入ったこと。その他(の噂)についてはどこから出てきたのか、ソースはどこなのか、私にはまったくわからない」と話し、美容師のPCR検査結果が陰性であったこと、該当する選手たちには内部でも罰金が下されることを明らかにした。
チーム内に不協和音はなし
また、ラサルテ監督もウルグアイ戦の前日会見でチームに「重大なミスがあった」ことを認めながら「支払うべき代償は支払う。それ以上でも、それ以下でもない」と語り、噂されたようなチーム内の不協和音が存在しないことを断言。「現在(コロナ禍という)複雑な状況にある中、我われは模範とならなければならない。今回の一件が我われに教訓となって残ることを願う」と話した。
当のビダルはウルグアイ戦の後、ピッチレポーターによる取材に応じ、事実とは異なる噂が流れたことについて「チリではいつも問題のないところにあえて問題を探そうとするが、それにはもう慣れている。我われは(大会に)集中しているし、団結している」とコメント。「美容師については間違ったことだったとわかっているが、悪気があったわけではない。もう同じ失敗は繰り返さないよ」と笑顔で語った。
今回の違反行為により、チリ代表はCONMEBOLから推定3万ドルの罰金が課されると考えられている。
Photo: Getty Images
Profile
Chizuru de Garcia
1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。