3月末の代表ウィークで、イタリア代表チームの間に新型コロナウイルスのクラスター感染が広がったのではないかとの疑いが浮上し、騒ぎを呼んでいる。
遠征中に陽性者が発生
イタリアはカタールW杯欧州予選の北アイルランド戦(3月25日)、ブルガリア戦(28日)、リトアニア戦(31日)の3試合に挑んだ。29日にブルガリア戦の開催地ソフィアで施されたPCR検査では全員が陰性だったものの、30日朝にスタッフ1名が咽頭に軽い炎症を訴えた。
ただちにチームから引き離されて隔離措置が取られたが、その後の検査でウイルス陽性が発覚。濃厚接触していたとされるスタッフもリトアニアのビルニウスで隔離され、その濃厚接触者を中心に再度検査を行った結果、3人に陽性反応が出た。
代表チームのドクターは「感染したスタッフと選手たちは行動場所を離しており、選手たちとの間に濃厚接触はない」としたが、ユベントスに戻ったレオナルド・ボヌッチに陽性反応が出たとの発表が所属クラブからなされた。
各クラブ対応に追われる
これを受け、各クラブは対応に追われた。ユーベの他インテル、ミラン、ナポリは検査を取り急ぎ実施し、招集選手のウイルス陰性を確認した。アタランタに戻ってきたラファエウ・トロイとマッテオ・ペッシーナは地元の医療当局の指導の下で検査の後に隔離措置が取られ、ウディネーゼ戦当日となった4月3日午前中の即効性検査で陰性が確認されチームに帯同した。
代表に4人を送り込んでいたローマは、地元医療当局の監修の下で全選手を向こう2週間、練習場に詰める”バブル方式”の隔離措置にすることを決定。サッスオーロに至っては代表に招集されていた4選手を、検査結果を待たずに予防措置としてローマ戦の招集メンバーから外した。
しかし、それらのクラブ以外からは代表参加選手にウイルス陽性反応が出た。パリ・サンジェルマンに戻ったマルコ・ベラッティとアレッサンドロ・フロレンツィに陽性反応が出て、チームから外れることとなった。フロレンツィについては合流後、念のために自主隔離の対象となっていたが、検査で発覚した格好だ。
さらに、在住するドイツの法令で義務付けられる強制隔離を避けるためリトアニア戦の招集から外れたビンチェンツォ・グリフォも、フライブルク帰還後の検査で陽性となった。その後も4月4日にはカリアリのアレッシオ・クラーニョが検査で陽性が発覚、トリノの公式発表で名前は伏せられているが、『ANSA通信』によれば「サルバトーレ・シリグが感染した」という。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は「潜伏期間を考えれば残り3、4日の間は新たな感染者が出る可能性がある」と報じた。各クラブも警戒を強めており、インテルは代表選手3人に24時間ごとの検査を課し、ロッカールームや昼食時を含め他の選手と別行動にさせているという。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。