インテルやローマで活躍した元ブラジル代表DFマイコンが、現役選手としてイタリアに戻ってくる。1月から、セリエD(4部)のソーナでプレーすることが決定した。
契約は今季終了までの予定
マイコンは2006-07シーズンからインテルに6シーズン所属し、4度のスクデットと3度のコッパ・イタリア制覇、そして2009-10シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ制覇と2010年のFIFAクラブW杯制覇に貢献した。2012-13シーズンのマンチェスター・シティでの1年間を経てローマに移籍し、3年間プレーした後にブラジルへ帰国。2020年9月からカンピオナート・ミネイロのビラ・ノバでプレーをしていた。
その彼に、突然イタリア復帰の噂が浮上したのは昨年11月のこと。獲得に乗り出していたのは、なんとベローナ近郊の人口1万7000人の街をホームタウンとするアマチュア経営のクラブだったのだ。
クラウディオ・フェラレーゼSDは地元メディアに対し「我われのブラジル人のコラボレーターがマイコンと友人だったので口を利いてもらった。彼はミラノに事業を持っており、ベローナに住むことになれば移動の負担も大きくはない。今季終了までプレーしてもらうことを考えている」と明かした。
その後、新型コロナウイルス感染症の影響で手続きは遅れたものの、12月12日に正式に契約。今月5日には、ソーナ幹部の口から改めてマイコンの来訪が確約された。なお、本人の他に15歳の息子も下部組織でプレーすることになる。
土壇場でイタリア上陸が延期に
クラブにはイタリアや海外からの問い合わせが殺到し、専門の電話番を置いて対応に当たっているという。
ソーナのマルコ・トンマゾーニ監督は『コリエレ・ディ・ベローナ』の取材に対し「10年前の3冠獲得の様子はテレビで見ていたが、その時の主力が手に触れるところへ来るなんて。彼なら実力の30%も発揮してくれれば、我われにはすごく大きな助けになるはずだ」と興奮気味にコメント。そして「ブラジルではCBにコンバートされていたようだが、ウチではサイドをやってもらう可能性がある」と起用のプランを明かした。
ソーナは1972年設立で、近年、力を付けてアマチュアのトップカテゴリーであるセリエDに浮上した。今シーズンはBグループに参加し、1月6日現在12位につけている。
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、マイコンも当然、加入して即出場とはならないようで、クラブ関係者は1月17日のスカンツォロシャーテ戦でのデビューを視野に入れていたという。
マイコンは1月7日にミラノ・マルペンサ空港に降り立つ予定と報じられていたが、クラブは当日未明に「搭乗時に問題が発生し、イタリアへの到着が延期となった」と公式サイトで発表した。今後の推移が注目される。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。