現代ストライカーの謎を解明する
時代と共に変化するストライカー像と“栄光ある孤立”を貫くバスクの雄を大特集
[特集Ⅰ]
「ゴールの美学」と「拡大する役割」
現代ストライカーの謎を解明する
「選手間の距離を非常に短く保つタイトな守備が定番化したことで、『9番』にはボールを受けるスペースも、点を取る時間も1秒たりとも与えられなくなった。メッシやネイマールでさえも打開するのが難しいほど守備が組織されている」――FIFAによるロシアW杯総括の中で、往年の名FWファン・バステンはこう語っていた。点を取ることは特殊能力であり、ストライカーは今なお特別なポジションであり続けている。しかし現代サッカーにおいては、彼らにも戦術的なタスクが課され、チームとしてのプレー、ゴールへのアプローチがより重要な意味を持つようになった。その求められる役割や能力は、時代とともにどう変化し、拡大しているのだろうか。様々な観点やチームの事例から、あらためてストライカーとは何なのか?を考えてみた。
[座談会]
マルコ・ズニーノ×レナート・バルディ×片野道郎
セリエA現役スカウト&コーチが教える「現代ストライカー論」
「マルチタスク」×「タスク共有」の時代
モダンFWの2つのニュータイプ
元日本代表FW播戸竜二が徹底分析!
モダンFWの「スモールティップス」
「偽9番」と「得点量産インナー」の組み合わせ
ストライカーの歴史的解釈
[対談]
中西哲生×林舞輝
「決まるシュート」の方程式。中西哲生のストライカー育成メソッド
INTERVIEW
カリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)
「最高のベンゼマ」を僕達はまだ知らない
ストライカー×チーム戦術のケーススタディ
SPAIN|LIGA ESPAÑOLA
○レアル・マドリー
ゲームモデルなきチームは良くも悪くも「戦術ベンゼマ」
○バルセロナ
L.スアレス&O.デンベレ離脱で浮上。メッシを補佐する“第3の男”
○アトレティコ・マドリー
俊英の不発と遅攻に合わないパワー型CFがシメオネ史上最悪の得点力を招く
GERMANY|BUNDESLIGA
○バイエルン
収め、流れ、飛び出し、フィニッシュまであらゆるシーンにレバンドフスキあり
ホーランド、19歳の肖像
ポルディのようにウィットで、ロナウドのようにストイック
○ドルトムント
高く、速く、そして巧い。救世主が引き上げた攻撃のクオリティ
INTERVIEW
ティモ・ベルナー(RBライプツィヒ/ドイツ代表)
スピードスターの“目覚め”
ENGLAND|PREMIER LEAGUE
○リバプール
スペースを作るも使うもうまいCFと点を取れる両WGの“型がない”崩し
○マンチェスター・シティ
アグエロ、ジェズスは戦術とマッチするも…解消できない“クロスの上げ手”問題
○アーセナル
オーバメヤン左WG起用がついに機能。アルテタのアイディアで持ち味を存分に
ITALY|SERIE A
○ラツィオ
非トレンドのカウンター志向とスペースが必要なCFとの幸福な関係
○インテル
コンテ監督とルカク。2人の到来が燻っていたラウタロを覚醒させた
○ミラン
齢を重ねてもイブラはイブラ。実質トップ下として攻撃の基準点に
FRANCE|LIGUE 1
○パリ・サンジェルマン
ネイマールが守った! 驚きの4トップ
破壊力は欧州王者以上、ただし国内限定か
小便器、塩の小瓶でゲン担ぎ!?
ストライカーの奇怪な行動と迷信
在任22年で2度のW杯優勝に貢献
フランス代表ビデオアナリストに聞く
ムバッペの凄み、理想のアタッカー育成
ロマーリオやロナウドはもう出てこない?
サントス下部組織責任者が語る
ブラジルの今、ストライカー育成の流儀
アルゼンチンに世界的ストライカーが生まれる理由
「得点感覚」は教えられるのか?――名ストライカーたちの証言
イタリアの有名メンタルコーチが解く
「ストライカー」のメンタル構造
The Tactical Room|身体的瞬間
“ストライカー”が絶滅する未来?
[特集Ⅱ]
アスレティックの「純血主義」は今
異端なるバスクサッカーをたずねて
グローバル化が進むサッカー界で、そのフィロソフィは希少価値を増す。バスク生まれ、育ちの者だけでチームを構成するアスレティック・クラブ。それでいてリーガエスパニョーラ100年の歴史で一度も降格経験がない彼らは、いかにして時代に抗い、強さを保ち続け、その理想を現実にしているのか。3月には地元のライバル、ソシエダとともにコパ・デルレイ決勝進出を決め、あらためて注目を集めたバスクのサッカー、そして世界に類を見ないクラブの今に迫るべく、スペインは南部アンダルシア在住の木村浩嗣氏がビルバオを訪れた。
エウスカル・エリア(歴史的バスク)とは何か?
「純血主義」ではなく「属地主義」。
純血であればウィリアムスは拒絶されている
INTERVIEW
カルロス・グルペギ
「愛され過ぎた」元主将が伝え教える、アスレティックのアイデンティティ
拡大解釈され続けるフィロソフィ。
理想は常に現実に浸食される
INTERVIEW
イケル・ムニアイン(アスレティック)
アスレティックはロマンティック
アスレティックとともに1部で奮闘中!
バスク4クラブのフィロソフィと今
○レアル・ソシエダ
一度は諦めた下部組織重視で復活へ。今季リーガで最も魅力的なチームだ
○エイバル
バスクの末っ子。誇るべき「エイバル・モデル」
○アラベス
消滅の危機から再起!50クラブ超と育成協定
○オサスナ
ナバーラとバスクの微妙な関係と、英国の香り
デシャンやリザラズが生まれ、ラポルトやグリーズマンも過ごした…
未知なるフレンチバスクをたずねて
EURO開催に反対する人たち。
スペインへの反発、バスク独立運動の現在
バスク人という一体感――ダービー観戦記
取材後記:「都会的な田舎の人」たちの心地良さ
REGULARS
戦術リストランテ ●西部謙司
– 研究→対策が難しい?アタランタのプレー原則
footballista Game Lab
– FOOTISTAに登場する珠玉のストライカーたち!
ウォッチング・グアルディオラ ●ルイス・マルティン
– 苦い思いのまま、中断のまま、シーズンが終わる…
ディープスロート 内部情報が語るRマドリー ●ディエゴ・トーレス
– コロナの水面下で…ムバッペの争奪戦は続く
ドイツサッカー誌的フィールド ●ダニエル・テーベライト
– コロナ・クライシスが暴いたプロサッカー界の脆さと驕り
CALCIOおもてうら ●片野道郎
– ラングニックの監督兼SD招聘で「脱ミラノ化」を進めるガジディス
サッカーを笑え ●木村浩嗣
– 放映権料減収で2、3割の収入減も。コロナウイルスで年俸カットはどこまで進む?
フットボリスタ・ラボ・レボリューション’20
– 第13回 中瀬古大志:「好奇心」と「継続性」
マッチレビューから始まった「書いて、喋る」スタイルの楽しさ
footballista×JUEGO
– 韓国サッカー界の「シンクタンク」。『JUEGO』が目論む指導者革命とは?
ユニフォームを着替えたら… ●ローラン・カウス
TACTICAL FRONTIER 進化型サッカー評論 ●結城康平
– 「ネットワーク分析」から考える、ストライカーの科学
雲の向こうは、いつも青空~25歳の監督、林舞輝の奈良クラブ挑戦記~ ●林舞輝
– まさかの開幕延期。新生・奈良クラブの船出は?
連載コラム
ENGLAND●山中 忍/FRANCE●小川由紀子
NETHERLANDS●中田 徹/RUSSIA●篠崎直也
BRAZIL●沢田啓明/ARGENTINA●Chizuru de Garcia
特別付録
WCCF FOOTISTA 2020 フットボリスタ オリジナル選手コード
(※デジタル版には付録はありませんのでご注意ください)
Cover Photo: Borussia Dortmund via Getty Images