戦術的ピリオダイゼーションって何?
「世界に学び、世界に勝つ」ために、2020年2月フットボリスタが新しくなる!
[特集Ⅰ]
日本サッカーが今、知るべき
戦術的ピリオダイゼーションって何?
「戦術的ピリオダイゼーションは実は昔からある理論で、1980年代の、それこそマラドーナの全盛期にはもう研究されていたんです」
今回の特集を企画するにあたって林舞輝さんに相談をしたら、ふとそんな話になった。“個で組織を破壊する権化”のようなマラドーナが躍動していた時代に、それとは正反対に「組織の意思決定を統一するには~」と小難しいことを考えていた一派がいたわけだ。しかもそれから40年の時を経て、ゲームモデルやプレー原則の考え方が欧州サッカーのスタンダードになりつつあるのは、何か感慨深いものがある。
サッカーに限らず、今当たり前であることが今後も当たり前であるとは限らず10年、20年後には今とはまったく違う世界になっているかもしれない。ただし、その世界は突然変異で急にそうなるわけではなく、今ある現象を丁寧に分析した上で、それぞれの思いや信念を貫いた先に新しい未来が創られていくのだろう。
フットボリスタが今回、戦術的ピリオダイゼーションを特集するのは、この理論をそのままコピーしてほしいからではない。今のトレンドを知ることで、自分なりの未来像を考える1つのきっかけにしてほしいからだ。マラドーナから戦術的ピリオダイゼーションへの落差を考えると、40年先の未来が楽しみになってくる。
[対談①]
川端暁彦×浅野賀一
日本サッカーが戦術的ピリオダイゼーションを今、知るべき5の理由
教えて、林舞輝先生!世界一わかりやすい戦ピリ解説
INTERVIEW
ビトール・フラーデ
「提唱者」が語る戦術的ピリオダイゼーションとは――
戦術的ピリオダイゼーションへの5つの誤解
人物相関図で見る「戦術的ピリオダイゼーション」の広がり
アジアカップ決勝カタール戦にみる
「再現性がないサッカー」の問題点
カオスとフラクタル、モルフォサイクルって何?
戦術的ピリオダイゼーション用語辞典
[対談②]
レナート・バルディ×片野道郎
戦術的ピリオダイゼーション実践編:イタリア流の解釈
INTERVIEW
冨安健洋(ボローニャ/日本代表)
モダンDFを目指す旅
で、具体的にはどうすればいいの?モルフォサイクルの実例
The Tactical Room
戦術的ピリオダイゼーション vs インテグラル・トレーニング
[対談③]
林 舞輝×川端暁彦
戦術的ピリオダイゼーションは「筋トレ」と共存できるか?
Amazonレビュワーもびっくり!?
林舞輝の辛口・戦ピリ本批評
ゲームモデルで地域創生。
「地域課題解決型総合クラブ」福山シティFCの挑戦
「反・戦ピリ」のもう1つの未来。
エコロジカル・トレーニングの可能性
COLUMN
❶戦術的ピリオダイゼーションの応用。ロジャーズのグルーピング理論
❷「セットプレー」はゲームモデルに含まれるか?
❸リバプールの快進撃を支えるコンディショニングの「個別化」
INTERVIEW
ファン・マタ(マンチェスター・ユナイテッド)
プロフットボーラーの責任
[特集Ⅱ]
欧州5大リーグのキャプテンに学ぶ
チームリーダーの10カ条
強いチームには、優れたリーダーがいる。今季はアーセナルの主将交代を機に、その存在がクローズアップされた。当人の資質やクラブの事情に応じて、様々なキャプテン像があるだろう。ここでは、19-20シーズン現在の欧州5大リーグ98クラブの主将から共通の傾向を探り、数選手の事例に着目、腕章を巻くために求められるものを考えてみた。
サッカー以外の分野でも当てはまるかもしれないその「10カ条」とともに、ロッカールームで信望を集めピッチ上でチームを牽引する男たち、それぞれのリーダーシップのカタチに触れてほしい。
“闘将”や“ワンマンリーダー”は消えてゆく!?
英国キャプテンシー論争
1. 経験豊富な30代が望ましい
アレハンドロ・ゴメス(アタランタ)
南米産の小さな主将が若手と市民の導き手に
イウトン(モンペリエ)
42歳(!)で現役バリバリ。尊敬集める「自然体」
2. 出場70%以上のタフガイが適任
セサル・アスピリクエタ(チェルシー)
逆境に強い鉄人。若いチームを支えるポジティブ思考
3. 頼れるのは6年超の在籍キャリア
ダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)
背中で語る達人が“1年だけの主将”に就く理由
4. 守備的ポジションの選手が向いている
サミール・ハンダノビッチ(インテル)
前任と真逆。みんなの規範、守護神の向上心
ロイク・ペラン(サンテティエンヌ)
将来は銅像に!? これぞ真の“one-club man”
5. コミュニケーション能力は必須スキル
二クラス・モイサンデル(ブレーメン)
選手の間を取りまとめる「もう一人の指揮官」
INTERVIEW
フランチェスコ・マニャネッリ(サッスオーロ)
絶滅危惧種の「バンディエラ」
6. キャプテンは人を成長させる
ジョーダン・ヘンダーソン(リバプール)
“戦力外”から一歩一歩、今や世界王者の心臓だ
ダニ・パレホ(バレンシア)
前代未聞の過ちを越えて2度目の就任で芽生えた自覚
ダビド・アブラアム(フランクフルト)
「心を整えさせる」ため、あえて重責を担わせる
7. 黙々とプレーで示すリーダーシップもある
リオネル・メッシ(バルセロナ)/ヘスス・ナバス(セビージャ)
誰も真似できない、メッシのタレント、J.ナバスの献身
8. 伝承する生え抜きこそ理想
ジャック・グリーリッシュ(アストンビラ)
24歳、生粋のビラファンが今、勇敢なリーダーに
ロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)
マラドーナを知る街の、愛ゆえの厳しさを背負って
9. 人の心を掴むには自分らしくあれ
ホアキン・サンチェス(ベティス)
典型的スペイン人の天然100%に国民が虜
10. ファンの信頼は絶対
グラニト・ジャカ→ピエール・エメリク・オーバメヤン(アーセナル)
非難集中、その背景…問題はクラブの方針にあった
COLUMN
❶「リーダーとキャプテンは違う」ジョゼ・モウリーニョのリーダー論
❷若い生え抜きスターを副将に抜擢し帝王学を授ける、という主将選び
❸背番号13へのオマージュ 今に生き続けるアストーリ
REGULARS
TACTICAL FRONTIER 進化型サッカー評論 ●結城康平
– 「ティール組織」から、フットボールクラブの未来を占う
ウォッチング・グアルディオラ ●ルイス・マルティン
– 決戦レアル・マドリー戦! リバプールの優越がペップを追い詰めた
ディープスロート 内部情報が語るRマドリー ●ディエゴ・トーレス
– ロドリゴ。快楽のビジネス、虚構の世界の神として
[新連載]
雲の向こうは、いつも青空~25歳の監督、林舞輝の奈良クラブ挑戦記~ ●林舞輝
– 25歳の監督、「プレシーズンの実験」が始まる
ドイツサッカー誌的フィールド ●ダニエル・テーベライト
– まるで腫れ物を触るようなドイツサッカーと中国の関係
CALCIOおもてうら ●片野道郎
– 「資本と市場のグローバル化」を経て…2020年代の欧州サッカー未来予測
サッカーを笑え ●木村浩嗣
– 知っておくべきスペインの良いメディア、悪いメディア
フットボリスタ・ラボ・レボリューション’20
– 第12回 白戸豪大:「データ×アカデミズム」の可能性を追求する大学院生
戦術リストランテ ●西部謙司
– 変わったようで変わっていないリバプール
ユニフォームを着替えたら… ●ローラン・カウス
footballista×JUEGO
国境と世代を越えるシステム。[4-4-2]が愛され続ける理由
連載コラム
ENGLAND●山中 忍/FRANCE●小川由紀子
NETHERLANDS●中田 徹/RUSSIA●篠崎直也
BRAZIL●沢田啓明/VENEZUELA●Chizuru de Garcia
Cover Photo: (上)Getty Images(下)PanoramiC/AFLO