「派閥化」するフットボールの世界
急速に拡大する新たなクラブ戦略、複数クラブ保有=MCOの狙いとは?
特集Ⅰ
シティ・グループ、RBグループに続く新勢力が続々と…
「派閥化」するフットボールの世界
マルチクラブ・オーナーシップ(=MCO)という言葉をご存じだろうか?シティ・フットボール・グループやレッドブル・グループに代表される1つのオーナー、あるいは資本が国籍の異なる複数クラブを保有する運営形態である。
5年ほど前まではサッカーにおけるグローバルフランチャイズ戦略の一環であくまで巨大資本による「例外的な取り組み」という認識だった。ところが、ここ数年MCOに関わるクラブが急激に増えてきており、英『ワールドサッカー』誌によれば、その数は世界37カ国・計117クラブに及ぶという。
どのクラブがどこと結びついているのかは移籍戦略にも大きな影響を与えており、選手、監督、そしてファンにとっても無視できないテーマになってきている。そこで最前線の現場で戦う経営者や指導者、代理人などに話を聞き、MCOが欧州サッカーエコノミーにどういった変化を起こすのかを考えてみたい。
オーナーシップの歴史的変遷から見る
MCOの3つのビジネスモデル
○サプート家(ボローニャほか)
INTERVIEW
クラウディオ・フェヌッチ(ボローニャCEO)
サッカーエコノミーで何が起こっているのか?
ボロ ーニャCEOが 語るMCOの実態
○シティ・フットボール・グループ
シティ・フットボール・ジャパン代表が明かす
MCOのパイオニア、CFG10年の足跡
シティ・フットボール・グループ加盟クラブ解説
ニューヨーク・シティ
ピルロら大物路線は変更。今後は「強化・育成」へ注力
横浜F・マリノス
CFG屈指の成功例。シティとの幸せな関係は続く
ロンメル
破産危機を救う。未来像への思惑も一致
メルボルン・シティ
大胆なリブランディング、昨季は国内2冠達成!
モンテビデオ・シティ・トルケ
「至宝」シリを獲得。インフラも充実
ジローナ
ペップ兄との個人的な繋がり。まだ課題満載
トロワ
欧州屈指の「育成大国」フランスの拠点へ
四川九牛
念願の中国市場で目指す「シティ化」
ムンバイ・シティ
サイ・ゴダードを擁してISL初優勝!
○レッドブル・グループ
“創造主”ラングニックがゼロから作り上げた
「世界で唯一無二のシステム」
レッドブル・グループ加盟クラブ解説
レッドブル・ザルツブルク
帝国の根幹を担う欧州屈指の「育成機関」
ニューヨーク・レッドブルズ
ビッグネーム戦略から転換。本家への人材輩出で貢献
レッドブル・ブラガンチーノ
ブラジルでも2チーム体制。着々と地盤固め
[対談]モラス雅輝×片野道郎
オーストリアの育成戦略を変えたラングニック
次なる試み「SD機能アウトソーシング」の是非
○フェンウェイ・スポーツグループ(リバプール)
リバプールを復活へと導いたアメリカ流
スポーツビジネスのプロ集団のロジック
○蘇寧グループ(インテルほか)
国家政策に後押しされた壮大な計画は
二重苦により終焉へ
○ポッツォ家(ウディネーゼほか)
時代の先駆者ポッツォ・ファミリーの紆余曲折
捻じれたウディネーゼとワトフォードの関係
○イネオス・グループ(ローザンヌほか)
目指すは「複数スポーツの知見の融合」
ローザンヌとニースを保有するイネオスの戦略
○バスコニア=アラベス・グループ(アラベスほか)
バスケ界で成功した手法をサッカー界へ輸出
アラベスとイストラの関係にみる、MCOのリアル
INTERVIEW
立石敬之(シント=トロイデンVV CEO)
MCOの総本山、ベルギーリーグから見る
欧州サッカーの実情と日本サッカーの現実
○マシュー・ベナム(ブレントフォードほか)
統計モデルを学んだベナムの壮大な野望
独自指標で「埋もれた才能」を発掘するスカウト部門
○ユナイテッド・ワールド(シェフィールドUほか)
1年で3クラブを加えたサウジ王子の目論見は?
スポンサー契約拡大やユニフォーム自社製作も
○トニー・ブルーム(ブライトンほか)
英屈指のギャンブラーがサッカー界にベット
ポーカーで磨かれた決断力で「夢」ある経営を
ブレグジットとイングランド勢のMCO
“国内産業”で唯一、EU離脱を歓迎するサッカー界の事情
チェルシーとフィテッセの“ 私的提携”
今夏はレンタル0人も、友好かつ有効な関係は続く
マネたちが辿った「ジェネラシオン→メス」
フランスではもう出会えない才能をセネガルで発掘
○ドミトリー・リボロフレフ(モナコほか)
モナコが育てたい若手がセルクルの即戦力に
Win-Winの関係…しかし将来は見えない?
○OLグループ(リヨン女子ほか)
女子サッカー界でもMCO、リヨンが米進出!
名物会長の夢は女子クラブW杯でOL対決
日本人欧州移籍の新トレンドになるか?
代理人と考えるMCO有効活用術
[山田塾×footballistaコラボ企画]
メッシ電撃移籍から見えてくる
欧州フットボールのファイナンス構造と課題
クラブ売買に忍び寄る悪徳ブローカーの影
クリストファー・サミュエルソンのケーススタディ
法務面から見るMCO規制の現状と限界
焦点となるのは「影響力」の制限方法
明確なMCO成功例は、CFGとレッドブルのみ
カギは巨大資本、ビジョン、そして垂直統合のメソッド
特集Ⅱ
All or Nothing
~アーセナル沼へようこそ~
アーセナルがまた面白いことになっている。47年ぶり最下位やノースロンドンダービー快勝を含む、プレミアリーグ開幕3連敗のち3連勝(そして10月2日の最新試合はしっかりブライトンと引き分けた)。そういえば今季アーセナルにはAmazon Prime Videoの人気ドキュメンタリー『オール・オア・ナッシング』第3弾の撮影が入っているそうだが、ここまでの流れはそのためのストーリー作りだったのか……と思わずにはいられない、ジェットコースターのような滑り出しだ。
アーセナルに今、何が起こっているのか。そしてここ数年、敗北を抱きしめ続けてきたグーナーのみなさんは今、アルテタ監督のチームに何を思うのか。やっぱり“Nothing”じゃ終わらなかった彼らの姿に、ますます「沼」から抜けられなくなったアーセナル好きの方々にも多数ご登場いただいた、footballista本誌では6年ぶり3回目のアーセナル小特集(大はまた4位に返り咲いた時に)。冨安選手きっかけでアーセナルなる愉快な団体が気になりかけている人も、ぜひお楽しみください。
a TRIBE CALLED ROMANTICIST
~ロマンティストという名のトライブ~
アルテタ戦術、3年目の方向性と新機軸
「運ぶ」「奪う」局面で新戦力がもたらしたもの
ボローニャで“トミ”を指導
レナート・バルディが評価するアーセナルの冨安
会見場の彼はイケメンの大根役者
私はアルテタに陶酔できない
だいたいいつも『国』だらけ!
アーセナルから世界を眺めてみた
真夏の225億円大補強はなぜ敢行できた?
赤字はどこへ…アーセナルの経営戦略を読む
アカデミー改革とアーセナルの明るい未来
国内一の若返り!売るのも上手くなってきた!
「アーセナル沼へようこそ」
アーセナル超入門
ラジオ界も今、アーセナル沼に…
日本グーナー化計画の裏事情
やみくもに信じ続けるのは愚かだけれど
それでも信じ続ける理由について
REGULAR
戦術リストランテ ●西部謙司
– RBスタイルの発展形。新生ドルトムントの挑戦
TACTICAL FRONTIER 進化型サッカー評論 ●結城康平
– パシフィック・メディア・グループ、「弱者のマネーボール」を追求する新たな一大勢力
FOOTBALL×ART ●今井トゥーンズ
ドイツサッカー誌的フィールド ●ダニエル・テーベライト
– 人気低迷に競争力も…ブンデスを襲う危機感
ディープスロート内部情報が語るRマドリー ●ディエゴ・トーレス
– ムバッペ移籍頓挫の裏に本人、クラブ、UEFAの隠れた思惑
CALCIOおもてうら ●片野道郎
– MCOの背景にある「構造的問題」。新FFPがもたらす欧州サッカーの再編と変貌
サッカーを笑え ●木村浩嗣
– ポゼッション志向さらに強まる。ボール出し、ハイライン、PTP…「いつかはポゼッション…」21‒22リーガの戦術分布図
フットボリスタ・ラボ・レボリューション’21
– 第22回 垣内健司 :あふれ出す知的好奇心のままに。クレイジーなまでにサッカーを追い続ける
JUEGO×footballista
異色の新世代コーチに聞く、韓国サッカーの複雑な指導者事情
連載コラム
ENGLAND●山中 忍/FRANCE●小川由紀子
NETHERLANDS●中田 徹/RUSSIA●篠崎直也
BRAZIL●沢田啓明/ARGENTINA●Chizuru de Garcia