モウリーニョと小嶺先生の共通点!?“キャラ変”できる指導者の凄み
喫茶店バル・フットボリスタ ~店主とゲストの蹴球談議~
毎号ワンテーマを掘り下げる月刊フットボリスタ。実は編集者の知りたいことを作りながら学んでいるという面もあるんです。そこで得たことをゲストと一緒に語り合うのが、喫茶店バル・フットボリスタ。お茶でも飲みながらざっくばらんに、時にシリアスに本音トーク。
今回は、モウリーニョのトッテナム監督就任であらためて感じた「アップデートの大切さ」について考えを巡らせてみた。
今回のお題:月刊フットボリスタ2020年1・2月合併号
「19-20前半戦108の謎」
店主 :浅野賀一(フットボリスタ編集長)
ゲスト:川端暁彦
あのモウリーニョが優しくなった!?
川端「店長、さっそくお願いシャッス!」
浅野「おかしいだろ(笑)」
川端「キャラ変してみようかと思ったんですが、無理がありましたね。そして今号は恒例の『年忘れ煩悩特集』でした」
浅野「(……持ち直して)毎回年末は海外サッカーの前半戦を108の謎を解く形で振り返っています。108の理由は川端さんの言う通り煩悩の数という強引な理屈付けですが(笑)」
川端「表紙はモウリーニョで、冒頭もプレミア。やはり現在の欧州の中心軸はプレミアリーグという認識なんですよね。モウリーニョがカッコイイからという可能性もある?(笑)」
浅野「表紙がモウリーニョになったのはトッテナムの監督就任が意外だったからというのが大きいですね。それにしても1年前のこの連載でもテーマにしましたが、トッテナムの監督になったモウリーニョ、キャラ変わってますよね(笑)」
川端「モウリーニョの『キャラ変』については僕ら、このバルで事前に予想してましたよね(笑)。これは選手もそうなんですけど、やっぱり自分自身をアップデートしていける指導者が最強ですよ。あらためてそう思いました」
浅野「本人は『苦労しない社会生活の中で打たれ弱い選手が生まれている』とも言っていましたね。彼が偉いのは、そこで周りに文句を言うだけでなく、そうした現状を受け入れて自分自身を変えていけるところですよね。いきなりハリー・ケインを褒めたり、前半29分で交代させたダイアーに記者会見で謝罪したり、めちゃくちゃ選手に気を遣うようになっています」
川端「そもそも今までの厳しい態度も演技というか演出でやっていた部分があるんでしょうしね。人って何か失敗した時に自分以外に原因を求めたくなると思うんですけど、あれだけ成功を収めてきた人でもそうはならず、自分を変える方を選べるのは単純に凄いなと思います。……僕は無理です(笑)」
浅野「見習いたい姿勢だけど、簡単ではない」
川端「SNS時代についても、社会が悪い、文化が悪い、教育が悪い、テクノロジーが悪いと言うのは簡単。でも、そうじゃなくて自分を適応させていく。そのマインドの凄味たるや」
浅野「あの人はレアル・マドリー時代に自分の代理人でもあるジョルジュ・メンデスとかなりがっちり組んでチームを作った結果、ロッカールームが分裂する失敗を経験したじゃないですか。で、今はそれをやらなくなっているんですよね。毎回、失敗を生かして変えているんですね。メンデスは相変わらず、いろんなクラブを裏から牛耳っていますが(笑)」
川端「メンデスさん自体は大もうけしているので、彼のポジションから見ると『失敗』じゃないんですよ(笑)」
浅野「もちろん、彼は試合に勝つことではなく選手の市場価値を上げて移籍金のマージンで儲けることが仕事なので、彼は成功しているんですよ。ただ、モウリーニョはそこと距離を置けるのが凄いな、と」
川端「モウリーニョのキャラ変で思い出したのは元国見、現在は長崎総科大学附属高校の小嶺忠敏監督のことで、あの方もキャラ変しているんですよ。現代っ子に響く言葉、態度を探している。言われていたのが『最近の子どもは変わってしまったから難しいとか言うけど、それは指導者として言い訳だろう』と。『子どもが変わって指導が響かなくなってるなら、響かせる指導に変えないといけない。それでこそ指導者だ』と言うんですね。あと、『そもそも昔が美化されちゃうだけで、子どもはそんなに変わっていないよ』とも言っていましたが(笑)」
浅野「自分の外に原因を求めても何もプラスにはならないからね。わかってはいるけれど、それを実践するのは相当の強さがいります」
川端「曲げない軸みたいなモノは当然持ちつつ、でも時代の流れや状況に応じてアップデートしていく。それが長く成功する指導者の条件なんだろうなと思います」
浅野「それって指導者だけでなくすべてに言えますよね。フットボリスタでも取り上げたメンタルコーチのメソッドで再三言われたのが『自分でコントロールできないことに意識を割かないこと』。例えば、そのメンタルコーチによると試合に出られない選手はたいてい『監督が使ってくれない』と言うと。ただ、監督が自分を試合に使ってくれるかどうかは監督が決めることでコントロールできない。そうじゃなくて、自分の成長にフォーカスすべきだ。それは具体的に計測できるものがいい。そうやって自分が成長すれば、結果的に試合にだって出られるようになるかもしれない」
川端「本田圭佑のよく言う、『成功にとらわれるな、成長にとらわれろ』に通じる話ですね」
浅野「まさに本田と同じ発想だよね。自分にコントロールできないものについては考えない。周りを変えるのではなく自分が変わるというのは、彼が強調していた根幹ですね」
川端「ただ、理屈ではわかっていても実践するのは難しい。特に一度『成功』してしまった人ほど難しいと思う。よく小学生とかで活躍し過ぎるとよくないみたいに言うけど、それもこういうところだと思う。努力や工夫ではなく、結果を褒められちゃうだろうし」
浅野「成功したそのやり方が正しいとなっちゃうしね。下手な成功体験は怖い」
川端「よく『正解を教えるんじゃなくて試行錯誤させなさい』というのも、そういうことだと思います。別の機会で壁に当たった時、新しい道を探そうというマインドを持っていること自体が大事、というか」
浅野「特に若い内はそれだよね」
川端「正解を教えて助けてあげたくなっちゃうのも人情ですけどね(笑)。それで教えて感謝されたことで満足しちゃう指導者は、やっぱり二流なんだと思います」
浅野「年齢という意味では、年を取ると考え方って固まってくじゃん。俺らも40だから、かなり意識しないとすぐ老害的な思考になる(笑)。そう考えるとモウリーニョは56歳でなお変われるのが凄いよね。小嶺先生もそうだけど」
川端「小嶺先生は74歳ですからね。ホントに凄い」
浅野「普通無理だよね(笑)」
川端「そのベースにあるのはやっぱり情熱でしょう。モウリーニョなんて別に解説者に転向してもいいわけだし、小嶺先生が楽隠居したって誰も文句言わないでしょう(笑)。でもそれをしないでチャレンジし続けている。ああいう人たちにとっては、変わるのも当然という感じなのかなと思う」
ビッグクラブの監督解任騒動、その裏側
浅野「監督業って、もうその職業自体がリスクだから(笑)。引退したらもう勝負の世界はいいと考える有名選手もたくさんいるけれど、そうした選択もよくわかる。監督で失敗したら、もう本当にボロクソに叩かれるじゃん。特に今季の欧州サッカーは毎週のようにビッグクラブの監督の首が飛ぶ異常事態。ミラン、バイエルン、トッテナム、アーセナル。マンチェスター・ユナイテッドはまだよく持っていますねという感じで(笑)」
川端「そうそう、今季はこけてるビッグクラブ多いですよね。今号の特集でもそこは大きなトピックだったのかなと思いますが」
浅野「なんというか、欧州サッカー自体がいろいろ過渡期な気はしています。単純なクラブのサイクルもあるけど、構造上でもそれは感じる」
川端「例えば、どういう部分?」
浅野「メッシ、ロナウドの時代が最終盤を迎えているのがまず一つある」
川端「まさにサイクルの部分ですね。若いファンは物心ついた頃からメッシとロナウドが点を取りまくっていたせいでイメージできにくいと思いますが、あの2人みたいな選手はそういつもいるわけではないですからね(笑)。ネクスト・メッシは100年経っても出ないかもしれない」
浅野「そうそう。あとはもっと大きい規模でのビジネス面での変革ですね。一例でいうと、バイエルンのウリ・ヘーネスやルンメニゲといった経営陣の考え方が今のトレンドと乖離してきてますよね。あとはナポリのケースも象徴的。今回は片野さんのコラムでも取り上げてもらいましたが、あの合宿拒否騒動はローカルクラブがヨーロッパの舞台で戦う限界を感じました」
川端「金が足りない(笑)」
浅野「トッテナムもエリクセンを引き留めて揉めましたが、ナポリもカジェホンら30代の主力が契約延長を拒んだんですよね。あのへんの年俸が300~400万ユーロで、これがナポリが払える上限です。その上で選手を引き留める材料として会長が『クラブへの愛』を利用しようとした。ファンに向かって『あいつらは金のために出ていこうとしてますよ』と公言することでね。で、『会長+ファン』vs『選手』という不幸な構図が、おそらく会長の意図通りにでき上がった」
川端「その構図は選手にとってきついですよね」
浅野「ナポリが悲願のスクデットを目指すには戦力を引き留める必要があるけど、選手のモチベーションが伴わないと厳しいよね。結局、『金がないと無理』という夢のない結論になってしまうんだけど……。こういう場合は出してあげるしかないなとあらためて思いました」
川端「結局、どっちも幸せにならない。ある意味、“非ビジネス”でやっているからこそとも言えますね。大富豪が道楽でやっているからならではというか。俺もクラブ愛でこれだけ金を使っているんだから、お前も忠節を尽くせ、と(笑)」
浅野「結局、ナポリはマラドーナ以来の夢を見ているんですよ」
川端「そこで『選手は金儲けのことしか考えていない。だが俺は違う。サポーターと一緒に夢を追っているんだ』というポーズを取って、ファンを煽っている」
浅野「そう。ただ、あながちポーズでもなく本心かもしれませんが。なんだかんだでデ・ラウレンティス会長は3部にいたナポリをCL決勝ラウンドまで導いた功労者なのも間違いないですからね」
川端「だからこそファンは会長側に付くのがマジョリティにもなる」
浅野「一方こっちはビッグクラブの話ですが、リバプールのチケット値上げ騒動もそうですよね。客は入るからチケットを値上げしようとしているんですが、そうすると地元民が見られなくなった」
川端「そこに当然、対立が生まれる。『クラブは何のためにあるのか』という根源的な問いにも繋がるので、シリアスな問題ですね」
浅野「グローバル市場をターゲットにするとそうなる」
川端「でも『私が株主なので、私が儲けるためにクラブはあるんです』と示されて納得できるファンなんていない(笑)。あとイタリアは富豪が身銭切ることを美徳としてきたというか、『愛の証』みたいにしてきた文化もあるから、余計にこじれそう」
浅野「最近あったユベントスの株主総会でも、アニエッリ会長は株主とグローバル市場の話しかしてませんでしたからね。地元ファンへの言及は一切なし。サッカークラブの在り方が変わってきているなと感じます。ほら、マンチェスター・ユナイテッドでもあったじゃないですか。モウリーニョ解任で株価上がって喜ぶエド・ウッドワードCEOとオーナーのグレイザー家というイビツな構図が」
川端「地元を向くよりグローバルへ。『そっちの方が儲かる』のは間違いないし、『儲かる方に傾けたほうが勝てる』のもまた然り、か。ビジネスのロジックとしても、勝利を目指すロジックとしても、グローバル市場を観るのは正しいと言えば、正しい。そしてこれはまさにビッグクラブで監督の早期解任が相次ぐ背景なのかなと思いました。成績不振に伴う株価の下落に耐えられない」
浅野「そういう一面もあるのかもしれないね」
川端「クラブが『株式会社』としての色を強めることで資金を集められるようになった一方で、『こいつが監督でいる限り損をしてしまうし、損しそうな世界の富豪・大企業からプレッシャーがかかる』となったら、クビにする判断が早まるのも道理か……」
浅野「正直、めちゃくちゃ短期的な視野になっているビッグクラブが増えているんじゃないかと思う。監督もそうだし、アカデミーの選手を育てる余裕もなくなってますからね。毎回CL制覇を期待されるので」
川端「どうすればいいんですか(笑)」
浅野「サッカークラブって税金で優遇されていたり、自治体の金が入っているケースもありますから。本来の成り立ちは地域の公共財なのに一般企業のように運営されるのはすごく違和感がありますけどね」
ビジネス化の反動?「育成の見直し」が始まる
川端「実はグアルディオラもこのままだと危なかったりします?」
浅野「グアルディオラは大丈夫だと思います。彼は経営陣と一心同体なので。辞めるのは自分から身を引く時だけでしょう」
川端「ちょっと安心した。さすがにあの人までちょっと勝てないからと簡単にクビになるような世界では……。とはいえ、今季に入って勝てていないのも確かですよね。今回の特集でも真っ先にトピックに挙げられていましたが、シティについてはどう観ていますか?」
浅野「後ろから繋ぐのがグアルディオラのサッカーの生命線なのに、要のGKエデルソンとCBラポルトがそろってケガでいなくなったのが痛過ぎますね。前がいなくなるのは対処可能ですが、ビルドアップ隊が崩れるとすべてが崩れますね。逆に言うと、ラポルトが帰ってきたら復活すると思います」
川端「なんだかんだ言っても、グアルディオラのサッカーも『属人的』な部分からは逃れられないってことですよね。仕組みで勝っているように見えるけど、人あっての仕組みなんだなと再認識させられるというか」
浅野「GKエデルソンの大きさは特にそうかな」
川端「2人といないGKなので仕方ないですね」
浅野「そもそも、グアルディオラのシティ2年目以降に戦績面が安定したのは、GKとDFラインの大型補強が大きかった。DFラインの補強費だけでどこかの国の防衛費を超えたと話題になってましたよね(笑)。そしてGKにもエデルソン加入で一気に変わった」
川端「やっぱり札束が大事という話に戻るのか(笑)」
浅野「カイル・ウォーカーとか化けた選手もいますけどね。リバプールの選手もそう。特にリバプールの両SBはいつの間にか化け物になっていましたし」
川端「クロップは育成マインドを持っている指導者ですし、そうやって開花させていきますよね。ドルトムント時代もそうでしたし」
浅野「お金がモノを言う時代だからこそ、逆に育成マインドは大事になってきているとも感じます。今やレアル・マドリーやバルセロナも何でも買える時代ではなくなりましたから」
川端「移籍金バブルで、トップクラスの選手はみんな高過ぎますからね(笑)」
浅野「CL優勝を狙えるクラブは10個くらいあると思いますが、給料に関してはどこも同じくらい出せるわけです。その中で出られそうなクラブを選手が選ぶようになっていると感じます」
川端「あとクロップには『あの人の下でやりたい。そこなら成長できそう』みたいな見え方をする力がありますよね。モウリーニョのキャラ変にも関わってきそうな話ですが」
浅野「レアルも最近特に10代のスター候補生を買うようになりましたが、自由に獲れないなら自前で育てるしかないという時代になっていく可能性もあるのかもしれない。昨年のアヤックスの成功がありますし、補強禁止で仕方なくアカデミーの選手をそろえたチェルシーが意外とやれているのも面白い」
川端「チェルシーのユースは良い選手たくさんいるのに使っていないと言われてきましたが、図らずもそれが証明されてますね。やっぱり使えば良かったじゃん、と(笑)」
浅野「川端さんはハドソン・オドイとかU-17W杯で観ているから、『使えばいい』と思っていたでしょ」
川端「めっちゃ思ってた!(笑)。『サンチョ以外にもこんなバケモノいるのかよ!……チェルシーなんで使わないんだ?』という(笑)」
浅野「ああいう使えば絶対化けるようなタレントが選手としてのファーストステップをうまく踏み出せないのはもったいないしね。シティのフィル・フォデンとかにも感じますけど。ただ、その傾向も変わっていくかもしれない」
川端「若手の価値向上はこの連載でも言ってきた世界的トレンドで、ビッグクラブもそこに参加するようになってきているしね」
浅野「これまではプレーヤートレーディングへの参入だけどね」
川端「そうそう。前にこういう話をした時は若手の売り買いの話がメインでしたけど、移籍金の高騰が急進的すぎて、買うより育てる方がお得という流れにあらためて戻っていく部分は確かにあるのかも」
浅野「育てる方が得は十分あり得る。だってジョアン・フェリックスは移籍金150億円と言われているくらいだからね。まあ、あのクラスのタレントは『育てるものじゃなくて世界のどこかで偶然生まれるだけ』というのがユベントスアカデミーの考えですが、でもアヤックスの成功とか見ていると本当にそうかなという思いもある」
川端「あれはユベントスの言い訳ですよ(笑)。あるいは成功体験のなさ、かな」
浅野「アヤックスはその意味で成功体験が山のようにあるから、育成への投資にも躊躇しないというのはあるかもしれない」
川端「ただ、育成には博打要素みたいなのが付いて回るのも確かだと思います。アヤックスだってなかなかタレントが出てこない時期はあったわけで、育成の当たり外れみたいなのは必ずある」
浅野「もちろん、毎年ビッグプレーヤーを育成するのは無理だよね」
川端「だから無理しないというユベントスと、だからこそより頑張るというアヤックスの発想にはかなり深い溝があるな(笑)」
浅野「まあ実際、アヤックスは育成部門について苦労もしてきたからね」
川端「でも、冒頭の話じゃないですけど、そうやってうまくいかない時に組織として試行錯誤しながら正解を探れるのがアヤックスの凄さでしょう。伝統にあぐらをかくのではなく、改革を進めていったわけで」
浅野「そうね。クライフの影響が強かったので、クライフの凄さなのかもしれませんが」
川端「いや、クライフを育てたのはアヤックスなので、やっぱりアヤックスの凄さなのかな、と(笑)。クライフ本人は『私は誰からもフットボールを教わらなかった』みたいな言い方してたと思いますが」
2019年もありがとうございました!
浅野「さて、そろそろ娘の相手をしてやりたいので、この辺にしてまとめますか」
川端「可愛い子には勝てませんね。まとめると、モウリーニョが煩悩を洗い流し、善人にクラスチェンジしたという話でしたか」
浅野「そんな話だったかな(笑)。まあ、過去の実績にあぐらをかかない、一つの成功体験に安住せずに自分を変え続けるのが大事という話だと思います。我われもモウリーニョやアヤックスを見習って、常に自分を変えるチャレンジをしようということで、2020年2月からサブスクリプション・サービス(月額定額制の有料WEBサービス)を始めることにしました! ここまでの話は壮大な前振りでした(笑)」
川端「ごういんなドリブルだ(笑)。でも大事なことですよね。まさに時代の変化に適応していくという話ですし」
浅野「その経緯はここに書いてありますので、ぜひご一読いただければ……」
川端「いや、いいと思いますよ。『とりあえずこのやり方でつつがなくやれているんだから、このままでいいじゃん。もし失敗したらどうするんだ』みたいな発想だと、延命しかできずにいずれ滅びる。これは必定でしょう。動ける内に動け、ですよ」
浅野「そう、組織としてもメディアとしてもトライしないといけないし、僕自身もチャレンジしていきたいです」
川端「じゃあ、そこをぜひ読んで編集長の思いを感じてくださいということで、今回は終わりにしておきますか! 娘さんがパパの帰りを待ってるみたいですし」
浅野「はい、2020年のニュー川端に期待しつつ、2019年を締めましょう」
川端「ニュー川端は“締め切りに遅れない”」
浅野「間違いない」
川端「ハードワーク川端。疲れ知らずの猛者。36時間連続稼働が可能」
浅野「ぜひそれでお願いします(笑)。本日はありがとうございました!」
川端「2020年も強い気持ちで!」
(編注:川端さんに構成してもらったこの記事は、締め切りを1週間以上遅れて届きました)
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Photos: Getty Images
Profile
川端 暁彦
1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣『エル・ゴラッソ』を始め各種媒体にライターとして寄稿する他、フリーの編集者としての活動も行っている。著書に『Jの新人』(東邦出版)。