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元日本代表FW鈴木隆行が語るワールドカップの重み

2018.06.12

プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド × footballista

いよいよ開幕する4年に一度の祭典ワールドカップ。出られるか否か、そしてここでの活躍がその後の人生を大きく左右する晴れ舞台に、選手はどんな心境で挑むのか。

今回は、そんなW杯イヤーにリリースされ話題沸騰の最新サッカーゲームアプリ「サカつく」シリーズの最新作『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)とのコラボレーション企画として、サカつくRTWを手がける山田理一郎プロデューサーと、元日本代表FW鈴木隆行さんとの対談を実施。

熱心なサッカーファンで知られる山田さんが、母国開催の日韓W杯ベルギー戦で歴史の扉を開くファーストゴールを決めた鈴木さんに当時のことやロシア大会に臨む日本代表について、さらにはサカつくRTW体験を通して、今年から指導者としての活動をスタートした鈴木さんの指導哲学に迫った。

2002の記憶

何の根拠もないんですけど、自分の中で“点取るな”って


── いよいよ4年に一度の祭典、W杯が開幕します。

山田「鈴木さんはW杯でいきなり輝いて、それでスターダムに上り詰めましたよね」

鈴木「たまたまです、僕の場合は」

山田「でも、そういうきっかけとかチャンスっていうのがみんな必要なんじゃないかと思うんです」

鈴木「何て言えばいいんでしょうね、運の部分っていうのは確かに強いんですけど、結局は結果じゃないですか。そこで(結果を)出せるか否かが人生を左右する。それも実力のうちかなとは思います」

山田「当時鈴木さんを見ていて、とんでもないなと思いましたもん。正直、W杯まで点を取っていなかったじゃないですか。それなのにここでくるのか!って。だってあの舞台ですよ。ちょっと軽いですけど今風に言うと“持ってる”なと思いました」

鈴木「W杯の時、何の根拠もないんですけど自分の中で“点取るな”って」

山田「それまで点を取れていなくて、メンタル的にヘコんだりというのはなかったんですか?」

鈴木「ないです(笑)。そういうのを持ってるヤツが点を取るって思っていて、実力も大事ですが、それだけではないという考えだったので」


── そういう心境だと、プレッシャーみたいなものも感じなかったんでしょうか?

鈴木「いや、プレッシャーはありました。あまりそういうのを感じる方ではないんですけど、あの時は国民から期待されていて、それに応えたいっていう気持ちが強かったです。基本的に情報とか入れるのが嫌いなタイプではあるんですけど、正直あの時は周りの情報をいっさい見ませんでした。ホテルに行ってもテレビとかつけずに。実は、あのW杯初戦の当日、完全に一睡もできなかったんです。それでヤバいと思ってフラフラしていた時に、なぜかそれまで全然見ていなかったテレビをつけちゃったんですよね。そしたら、ちょうど親戚の子供がインタビューを受けてたんです(笑)。こんなことある!?って思うと同時に、これはきてるな、何かあるなって感じました」

「決めた時には『やっぱり』と思った」というベルギー戦での歴史的“つま先ゴール”



── それだけの舞台にこれから挑む、日本代表について聞かせてください。

山田「監督が急きょ変わりました。このタイミングでっていうのはなかなか予想していなかったと思いますが、どう感じましたか?」

鈴木「正直、意外性はなかったです。プロの監督だったら、こういうことは起こり得ますからね」


── “日本らしいサッカー”に関して議論が巻き起こりましたが、それについてはどう感じられましたか?

鈴木「まず“日本らしいサッカー”ってなんなんでしょうか。仮にパスを繋ぐスタイルだとして、W杯のあれだけレベルの高い選手が集まっている中で、パスを繋いで崩せますか? それができるのであれば、こんなにバタバタしていません。そのあたりの勘違いは、相当危険だと感じています。ましてや、W杯になったらどのチームも固く戦いますし、内容なんて関係なくなります。そういう中でパスで崩せるかといったら、そう簡単にできることではありません」

山田「まだまだ共通理解がなくて、ちゃんと言語化されてないなと感じますよね」


── 日本が入ったグループHの印象は?

鈴木「どこも強いですけど戦えない相手じゃない、どこに勝っても全然おかしくないです。コンディションをしっかり整えて、作戦を練って挑めば、可能性が高いとまでは言いませんが突破は十分にあると思っています」


── 2002年大会の時は、どういったプランで臨んだんでしょうか?

鈴木「もちろん初戦は勝ちたいというのはありました。ただ、どこまでやれるのかというのは正直わかりませんでした。海外のチームともいろいろ対戦はしていましたけど、本大会になってこれだけやれる、という自信はまったくなかった。不安の中で入っていった感じですね」

山田「親善試合と本番じゃ全然違いますよね。実際にやられてみてどうだったんですか?」

鈴木「先制された時は『やっぱりダメなのかな』ってみんな感じたと思います。それで一時逆転したけどまた追いつかれて『勝つのは簡単じゃない』って。初戦の後も緊張感が続いていました」


── 当時トルシエ監督に対して批判的な声がありましたが、選手としては気にならなかったんでしょうか?

鈴木「情報をシャットアウトしていたので、そもそもそういう報道があったことを知らないんですけど(笑)そんなことありましたか?」

山田「メディアの受けは良くなかったですよね」

鈴木「トルシエって、まったく引きずらないんです。練習中、ある選手に『お前もう出て行け!』って言うじゃないですか。そうしたら、(当時コーチを務めていた)山本(昌邦)さんが連れ出して『グランドを1周歩いてきたらまた練習に混ざれ』って言って。それで何食わぬ顔で戻っても、トルシエは何も言わない。どれだけ怒っても翌日には何事もなかったようだし、そういう後に引かないところは良かったと思います」


── 日本代表にロシアで期待することを聞かせてください。

鈴木「経験豊富で実力ある選手たちがそろっているので、同じ方向を向いて戦えばグループステージは突破できると思います。国民の代表として命がけで戦う選手を、いちファンとして応援するだけです」

終始リラックスムードだった鈴木さん。対談を終えての感想は「(山田プロデューサーに)乗せられてしゃべり過ぎちゃった」

指導者として

まず守備があって、そこから攻撃に繋げるのがベース


── ここからはサカつくRTWを体験しながら、鈴木さんの指導哲学について話を聞かせてください。

山田「鈴木さんはチームを作る時、どこから入るんですか? 自分のやりたいサッカーがあって、そこに(選手を)当てはめていくのか、それとも今いる選手に合わせてチームを作っていくのか」

鈴木「基本的には、まず自分のベースとなるサッカーを選手たちに説明します、こういうふうにやりたいんだって。ただ、プロチームを指揮するのであれば、現在いる選手を見て臨機応変に変えていく、変えていってもいいとも思っています」

山田「プレーコンセプト的にはどういったものを志向されているんですか?」

鈴木「まず守備です。リーグ優勝するようなチームは、もちろん攻撃力もあるんですけど必ず失点が少ない。守備がしっかりしていないと“勝った負けた”になってしまいますので。今季で言えばレアル(マドリー)がそうでした。なので、まず守備があってそこから攻撃に繋げるのがベースになります」

山田「具体的に、理想に近いチームはありますか?」

鈴木「アトレティコ(マドリー)のゴール前での守備は、本当に完成されている感じがします。得点力はもう少し改善したいところですけど、それでもあれだけゴールが少なくて2位っていうのは凄いことです」

山田「今回のサカつくRTWでは中央突破、サイドアタック、カウンター、ポゼッションの4つのスタイルを選べるんですが、この中だとやっぱりカウンターになりますか?」

鈴木「基本的にはそうですね」

山田「現役時代守備の人だった人ほど攻撃的にしたくなって、前の方だった人ほど固いサッカーをするって意外と多いイメージがあります」


── 好きなフォーメーションはありますか?

鈴木「[4-4-2]かあるいは[4-5-1]か。でも、その時々によります。絶対にそうじゃないといけないというこだわりはありません。現役時代は4バックでプレーすることが多かったですけど、3バックの方がハマる相手だったり、あるいは選手もいます。そこは臨機応変に、どちらもできるようにしておかないといけない。それこそ最近は、試合中にもシステムを変えるのが普通じゃないですか。それができないと、今後はもうやっていけないと感じています」

山田「サカつくRTWでは、各選手のポジションまで細かく調整することができます。開発には文句を言われたんですけど私が『絶対入れろ』って言って入れさせました(笑)」

鈴木「それは絶対にあった方がいいですよね」

山田「最近はこうした、型にはまらない位置を選手に取らせるチームも増えていますけど鈴木さんも結構細かく指示するんですか?」

鈴木「自分の場合、バランスを重視しているのでそういったポジション取りは基本的にはさせません。なんでもバランスが良い方がいいじゃないですか、食べ物だってそうですし(笑)。バランスが良い方が失点が少なくなると思います」


── 今回、サカつくRTWに鈴木さんが登場します。ゲームの感想と、登場する鈴木さんをどんなふうに起用すればいいか、ユーザーのみなさんにアドバイスをお願いします。

鈴木「データを入れて試合のシミュレーションに使いたいくらい、リアルにできているなと驚きました。1トップで最前線に起用して、肉弾戦要員として激戦地に置いてもらえればいいんじゃないかなと思います(笑)」

山田「ハードワークができて、チームを生かす、勝たせる選手ですからね。そういう選手に設定します!」


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配布期間:6月12日(火)~7月11日(水)

商品名 :プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド
ジャンル:サッカークラブ経営シミュレーションゲーム
配信機種:iOS / Android
価 格 :基本無料(一部アイテム課金あり)
メーカー:セガゲームス


さらに詳しい情報を知りたい方は公式HPへアクセス!
http://sakatsuku-rtw.sega.com/


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Photos: Takahiro Fujii, Getty Images

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サカつくRTWロシアW杯日本代表鈴木隆行

Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。

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