モウリーニョの教えを受けた25歳監督、林舞輝の「カウンター論」
4月に林舞輝のドキュメンタリーを放送したテレビ東京が、5月末にYouTubeで公開した「【世界最高の監督・モウリーニョから学んだ唯一の日本人】 JFL奈良クラブ・林舞輝のトレーニング講座【カウンター編】」という動画が興味深いと一部で話題になっている。
そこで初の著書である『「サッカー」とは何か』を上梓した本人に、あらためて「カウンター」というサッカーの根源的な戦法について掘り下げてもらった。弱者の戦術と蔑まれることもあるが、その世界は奥が深い。
カウンターはサッカーにおける数少ない不滅の戦法である。サッカーが現状のルールのままであり、サッカー界が「弱肉強食」の世界であり続ける限り、カウンターが絶滅することはない。そして、何より、このスポーツにおける唯一の「弱者の味方」とも言える。比較にならないほど圧倒的な資金力を誇る、我らが憎むべき「なんちゃらマドリー」や「なんちゃらミュンヘン」を倒すための唯一の武器と言って良いだろう。弱小チームがジャイアントキリングを起こしたり、カップ戦で快進撃を見せたりすることが、サッカーというスポーツの大きな醍醐味の一つだ。他のスポーツではなかなか味わえない。そういう意味で、国内で憎まれまくっている奴らを倒し、サッカーの旨味を存分に味わうための勧善懲悪の戦法、それがカウンターアタックだ。……
Profile
林 舞輝
1994年12月11日生まれ。イギリスの大学でスポーツ科学を専攻し、首席で卒業。在学中、チャールトンのアカデミー(U-10)とスクールでコーチ。2017年よりポルト大学スポーツ学部の大学院に進学。同時にポルトガル1部リーグに所属するボアビスタのBチームのアシスタントコーチを務める。モウリーニョが責任者・講師を務める指導者養成コースで学び、わずか23歳でJFLに所属する奈良クラブのGMに就任。2020年より同クラブの監督を務める。