継承と改革と。明神智和コーチがガンバジュニアユースで担うミッション
【ガンバ大阪、アカデミー改革の時 #4】
2018年からトップチームの指揮を執る宮本恒靖監督を筆頭に、山口智ヘッドコーチ 、松代直樹GKコーチ、児玉新コーチ、森下仁志U-23監督などかつてガンバ大阪でプレーしたOB選手の指導者への就任が昨今続いている。それはアカデミーにおいても同様で、今シーズンから明神智和氏がジュニアユースコーチとして帰還した。指導者として歩み始めたセカンドキャリアへの想いを聞いた。
明神智和コーチインタビュー
――昨シーズン、AC長野パルセイロから契約延長の打診があったそうですが、引退を決断されました。現役に未練はなかったんですか?
「ありがたいことに、9月くらいに契約延長の話をいただいたんですけど、もう1年、しっかり体を作って、練習にも全力で取り組んで、毎試合100%の準備で臨めるかと考えたら、さすがに厳しいなと。実際、練習もキツく感じるようになってきていましたしね。数試合なら十分やれる自信はあったんです。でも、ベストのパフォーマンスを1シーズン、と考えたら、できないと思った。それなら引退だなと。そこはあっさりじゃないですけど、決断できました」
――100%でやれなければプロじゃないという考え方は、明神さんらしいですね。ガンバ大阪の強化アカデミー部長の松波正信さんからは、この2、3年、毎年のように声をかけてもらっていたそうですね。
「引退したら指導者になりたいということは、30歳を迎える前から漠然と思っていて。2015年にガンバを離れる時には、当時、強化部長だった梶居(勝志)さんから『指導者にならないか』という話もいただいたんです。その時は現役にこだわって、名古屋グランパスに移籍したんですけど、それ以降、シーズンの終わりに近づくと、梶居さんや松波さんから『来年はどうするの?』と気にかけてもらっていました。『ミョウが辞める決断をするのなら、ガンバに指導者として戻ってこないか』って。それで去年、松波さんに引退を決めたことを報告させてもらったんです」
――そこで「ガンバに戻ってこないか」と?……
【特集】ガンバ大阪、アカデミー改革の時
Profile
飯尾 篤史
大学卒業後、編集プロダクションを経て、『週刊サッカーダイジェスト』の編集記者に。2012年からフリーランスに転身し、W杯やオリンピックをはじめ、国内外のサッカーシーンを中心に精力的な取材活動を続けている。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』などがある。