FEATURE

最先端の「フォーメーション」を解読する、データ分析の世界

2020.04.29

特集: 今、あらためて 「フォーメーション」を考える#8

静的から動的へ――急激に変貌を遂げるフォーメーションの実態は、同じく急速に発展を遂げるデータ分析ではどう評価されるのだろうか。その最新事情に迫る。

 フットボールの流動化によって、フォーメーションは単なる数字の羅列になった。そのように急進的な意見を唱える指揮官も少なくないが、言葉通りに受け取るべきか否かは悩ましい。大半の監督は配置としてのフォーメーションを軽視している訳ではなく、相手チームの戦術を研究する際にもフォーメーションを参考にしている。しかし一方で、フォーメーションの流動化が進んでいることで「可変システム」が一般的になっていることも確かだ。フォーメーションだけを意識すると、ポジションチェンジや試合中のシステム変更に対応することは難しい。

 そのような視点から考えれば、フォーメーションに囚われない柔軟性が求められていることは確かだが、いまだにフォーメーションをベースとした分析も必要とされていると考えるべきだろう。一方で、データを活用することで「各選手の位置情報を分析する」アプローチにも着目が集まっている。彼らはテクノロジーの進歩に助けられながら、選手の位置座標を測定することで「フォーメーション」を再定義する。これは机上のフォーメーション図から選手の位置を考察するアプローチとは真逆で、実際のピッチにおける事象を分析することでチーム全体の意図を予測することを目指している。先進的なデータ分析は流動化していくフォーメーションの進化を「可視化」しつつあるのだ。……

今、あらためて 「フォーメーション」を考える

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。