FEATURE

なぜ、現代サッカーは「総力戦」 になったのか?

2020.03.23

今までサッカーの現場とフロントの関係は、互いに干渉しないのが不文律だった。マネージメント側はチームの戦力を整えるためにお金を集める役目で、現場に干渉するミランのベルルスコーニ元会長は“迷惑フロント”の象徴とされた。

ところが、林舞輝氏は「今は違う」と語る。「総力戦」の意味、そして新しい枠組みの中で勝つための方法を聞いた。

「意思決定」と「判断」のゲームで勝つ方法

── 今回フロント特集を企画したのは林さんのインタビューがきっかけの1つで、要はこれからはフロントが「クラブのゲームモデル」をちゃんと作らないと勝てなくなるという提言でした。あらためて説明してもらっていいですか?

 「単純に言うと、もうフロントがダメだとまともに戦えない時代だなと。まともなフロントがいないと、まともな監督を呼べなくて、まともな監督を呼べないと、まともな選手を呼べないから、まともなサッカーにならない、まともなサッカーをしてないクラブにまともなフロントスタッフが来ない、まともなフロントがいないと……という負のスパイラルに陥るんです。一番大事なのは、サッカーは『意思決定』と『判断』のゲームだから、まずフロントからそれを始めなければならない。トップダウンと言えばトップダウンの考えなんですけど、クラブの存在意義、クラブが何のためにあるのかから逆算して監督を呼んできて、戦術を決めて、選手を選ばなければならない。で、それの一番の成功例がシティ・フットボール・グループだったり、今のリバプールだったり、レッドブルグループだったりするわけです」……

Profile

浅野 賀一

1980年、北海道釧路市生まれ。3年半のサラリーマン生活を経て、2005年からフリーランス活動を開始。2006年10月から海外サッカー専門誌『footballista』の創刊メンバーとして加わり、2015年8月から編集長を務める。西部謙司氏との共著に『戦術に関してはこの本が最高峰』(東邦出版)がある。