Japan’s Wayはすでに確立済み。 いかに「日本人」の殻を破るか
【戦術的ピリオダイゼーション vs Japan’s Way #4】 レナート・バルディ×片野道郎 後編 【対談】
昨年末から続くA代表およびU-23代表の不甲斐ない戦いぶりで、日本代表への批判が高まっている。とはいえ、近視眼的に代表チームの戦いに一喜一憂しても意味がない。西野前監督からバトンを引き継いだ森保監督は、ロシアW杯で成果を上げた「日本らしいサッカー」の確立に力を注いでいる。そこで『モダンサッカーの教科書』の共著者であり、日本代表の不動のCB冨安健洋を指導するボローニャの戦術分析コーチ、レナート・バルディに森保ジャパンの戦術を「欧州基準」の眼で分析してもらった。後編では、Japan’s Wayの根幹である「日本らしさの追求」の是非を考える。
ネガティブトランジションの欠陥
「即時奪回を機能させる明確なメカニズムがない」
片野「ここまでは攻撃の話をしてきましたが、守備に話を移しましょうか。まずは課題であるネガティブトランジション(攻→守の切り替え)からいきましょう」
バルディ「ネガティブトランジション時のプレー原則は即時奪回です。特に最初のウルグアイ戦では、それがはっきりと打ち出されていました。ただ相手のレベルが高かったことに加えて、プレスがうまく連動したりしなかったりというブレが出ていました。これは、戦術のディテールを煮詰める時間が与えられていない代表チームでは、ある程度は仕方がない問題です。とはいえ、ラスト30mで難易度の高い崩しにチャレンジしようとする以上、ボールロストの頻度が高くなることは避けられないことも事実であり、そこからピンチを招くことを避けるためには、ネガティブトランジションの機能性を今よりももっと高める必要があることは間違いありません」……
戦術的ピリオダイゼーション vs Japan's Way ラインナップ
Profile
片野 道郎
1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。主な著書に『チャンピオンズリーグ・クロニクル』、『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』『モウリーニョの流儀』。共著に『モダンサッカーの教科書』などがある。