FEATURE

世界的GKコーチ×24歳のGM。最先端理論を知る2人、奈良で邂逅

2019.05.24

ジョアン・ミレッ×林舞輝 対談 前編

2019年5月23日、奈良クラブが世界的なGK育成のスペシャリストであるスペイン人GKコーチ、ジョアン・ミレッ氏のアカデミーGKダイレクター就任を発表した。多くのGKを育て上げてきた名伯楽は、なぜ新たな挑戦の舞台に奈良クラブを選んだのか。高い評価を受けるミレッ氏の独自のトレーニング理論から現役のGKたちへの評価、そして就任の意気込みまで、彼の招へいを決めた林舞輝GMが聞いた対談の前編。

戦術的ピリオダイゼーションとの類似性


「本日はよろしくお願いします。さっそくなんですけど、奈良クラブでのジョアンの講義を聞いた時に、(トレーニングを)ピリオダイズする、期間を設けて区切っているところや、ちゃんとGKのパフォーマンス、具体的にはキャッチングやセービングといった一つひとつのプレーを順序だてて体系化してるところが戦術的ピリオダイゼーションとすごく似ているなと感じました。ジョアンはこういった指導をいつから始めたんですか?」


ジョアン
「最初は、自分自身が行っていたのと同じことを指導していたんです。例えば、セービングのミスが出たからセービングの練習をしようとか、クロスをミスしたからクロスの練習をしよう、といった具合で。でも、全然うまくいかなかったんです。

 このままじゃ駄目だなと思い3年間、指導から離れて、その間にいろんな人の練習を見に行きました。でも、結局やっていることは自分とほぼ一緒でした。それで、ミスを指摘して修正するようなアプローチの仕方では選手、子供たちは全然理解できていないということに気づいたんです。それから、どうやったら“繋がり”が作れるのかということを考え始めました。

 もう一つは、あるアクションでミスをした時、例えばキャッチする場面でうまくできなかったとします。そうしたら、後に続くプレーでも動きたいのに動けない、止めたいのにうまく跳べないということが起こる。それぞれのプレーは独立しているはずなのになぜなんだろうかと疑問に思い、原因を考えながら注意深くプレーを観察する中で、1つ目のアクションの段階でエラーが起こっているとその後のプレーでもうまく体が使えなくなる、すべてのアクションが繋がっているということがわかってきました。

 全部が鎖のように繋がっていて、1個の鎖、どこかが欠けた時点で全部駄目になるっていうことに気づいたんです」


「ジョアンのメソッドでは、キャッチングから始まって一つひとつのアクションを教える順序が定められています。この順序というのは、どうやって決めていったんでしょうか?


ジョアン
「最初に何を教えるべきか考えた時、GKとしてまず知っておかなければならないのはキャッチングだろうと。直立して正面、だいたい顔の高さくらいのボールをキャッチするのが、GKにとって一番簡単なアクションです。それが型としてできていないと次のアクションにいけないのです。当然、ボールというのはいつも正面に飛んでくるわけではありません。離れたボールに対しては、移動してしっかり正面でボールをキャッチできるようにならないといけないことを教えます。ただ、ボールが体から離れれば離れるほど、キャッチするアクション自体が複雑になっていきます。

 そうしたら、そもそもどこに立つか、ポジショニングが大事になってくるわけです。まずキャッチを習得して、次にポジショニングを学ぶ。ポジショニングが理解できるようになって、どのゾーンにどう移動すればスムーズにポジション修正できるかを覚えたら、というように移ります。

 ポジショニングの次がハイボールになった理由は、GKが一番怖がる、苦手なアクションであり、加えて試合中に最も多く起こり得る状況だから。とはいえ、正面のキャッチができないGKに動きながらキャッチしたり、ジャンプしてキャッチしたりしなさいと言っても無理ですよね。ですから、まずキャッチがあって次にポジショニング、それからハイボールという順番になりました。

 そうやって順序をつけていくと、これらのアクションがシンプルにロジックで、論理的に繋がっているなということを発見できました」


「ジョアンのメソッドは(アクションを習得する)順序を論理的に決めているだけではないですよね。あるアクションにはどういった種類のフィジカル的な負荷やメンタル面の負荷がかかるとか、そういったところまで突き詰めて構築されています。そうしたフィジカルやメンタルの分野というのは、どうやって勉強したんでしょうか?」


ジョアン
「最初は、バルセロナにあるオリンピックセンターに行きました。ただ、講義を受けたりしたわけではなくて、自分が考えているトレーニングについて、フィジカルの専門家たちに質問しまくったんです。例えば、『このトレーニングを、こういうふうな体の使い方で回数としては5回やるのが一番いいかなと感覚的に思っているんだけど、どう思うか』といった感じです。それに対して、『だったらこういう使い方をした方がいい』や『この筋肉をもうちょっと鍛えたほうがいい』『回数的にこれ以上やってはいけない』といった意見をもらって、聞きながら学んでいきました。

 一番大事にしているのは、疲れ切ってヘロヘロの状態でトレーニングしては駄目だということ。なぜかというと、まったく考えなくなるからです。

 そうならないために、より効率的な方法がないかということをまず考えます。具体的には、一つのメニューをやるのに何秒かかるかということです。その時間によってエネルギー、ATPの消費量が変わりますよね。例えば、約12~15秒のアクションで、1度のルーティンでやれるのは3回だとします。この場合、GKが2人いれば一人のGKがやってる間にもう一人は休憩できます。

 メニューをこなすのに何秒かかって体にどのぐらい負荷がかかるかというのは、林GMのようにちゃんとスポーツ科学の勉強をした人はわかると思います。ですから、GKのトータルの練習時間から考える。そのトレーニングメニューは何回までできるか、どれくらいまで負荷がかかっても大丈夫か、そのメニューの前後はどうするか、といったことを計算して(トレーニングを)組み立てていきます」


「ジョアンのメソッドは本当に論理的で理にかなっていますよね。例えば、今のフィジカルの話で言うとATP-PCr系だったら何秒まで使えて、その後は解糖系を使うといった話もそうですし、ポジショニング一つ取ってもペナルティエリアのここからここまでは何mだから何歩で出られるといった具合で、すべてが物凄く理詰めじゃないですか。これだけ論理的なトレーニング理論を作り上げるのに、だいたいどれくらいかかったんでしょうか?」


ジョアン
「それは言えません。なぜなら、今も発展中だからです」


「なるほど。じゃあ、最新の変化、新しい発見というのはありますか?」


ジョアン
「最近の新しい発見ですか。私の理論では1対1が3種類あって、それぞれA、B、Cと呼んでいます。ただ、AとBの間にちょっと空白があって、それが6年間埋められていなかったんです。その空白を、この間ついに埋めることができました」


「(笑)。要は、GKが立ち向かう1対1の場面は3種類あると。その3種類の中のAとB、1番目と2番目の間に自分の中でちょっと違和感があってそれを6年間抱き続けてきたけど、最近発見があってその違和感が解消できたと」


ジョアン
「そういうことです。去年それを林(彰洋/FC東京)に教えて、ちゃんと試合で止めたシーンがありました」


「次に、今悩んでいることはありますか?」


ジョアン
「反射スピード、反応スピードのトレーニングです。教えていて悪くないなとは思っているんですが、例えばポジショニングが悪くてそこから反応しなければならない時に、よりスムーズに反応することができるようにするのはどうしたらいいか、思案しています。今は、考えずに反射するスピードを上げるためにはもしかしたら、わざとポジショニングをおかしくして、その状況でトレーニングしなければいけないのかもしれないと考えて去年から試しています」


「わざとポジショニングを悪くしておけば、相手がそれによって生じたコースの方を狙ってくるからそちらへ誘導する、ということでしょうか?」


ジョアン
「いえ、そうではなくて、GKが反応しなきゃいけない状態を、練習で意図的に作れるかどうかという話です。ポジショニングが正しいと、どこに撃ってくるか予測が立つわけです。その予測が立たない状況を、意図的に作るべきなのかどうか。正しくないポジショニングを練習で設定してしまうのはどうなのかなと。今までと同じようにポジショニングを正しく教えて、その中で反射スピードを上げることが可能なのか、それとも違うやり方にしなきゃいけないのか。それを今、検証中です」


「なるほど。その答えはぜひ、奈良クラブで見つけていただくということで」


ジョアン
「やりますよ。考えつくまであの世にいけません」


「考えつくまであの世にいけない、いいですね。僕は今一つ悩みがあって、例えば先ほどのGKの1対1には3種類あるであったり、アクションをちゃんと順序だててプロセスを重視しながらトレーニングしていくであったり、フィジカルの負荷も考えてやっていくといった、このジョアンのトレーニング理論に名前をつけるとしたら何と呼びますか? 例えば、リージョは自分のアイディアを『ポジショナルプレー』と呼び、ビトール・フラーデは『戦術的ピリオダイゼーション』と名付けたように」


ジョアン
「わかりません。誰か別の人が考えてくれるでしょう(笑)」


「であれば、それはおそらく僕らの仕事ですね。戦術的ピリオダイゼーションも、戦術的ピリオダイゼーションという名前を付けたビトール・フラーデがすごいんです。だからこそ流行ったし、『なんだそれ?』と惹きつけられた部分もあります。ブランディングにネーミングは必須ですから」


ジョアン
「おそらく、GKというのはリージョが考えてることよりももっと複雑です。ですから、名前を付けるのは相当大変だと思います。やっぱり、リージョの言ってたことはあまり機能しませんでしたしね(皮肉)」


「そういえば、リージョとはGKについての価値観が違ってひと悶着あったとうかがいました。何が違ったんですか?」


ジョアン
「それはもう、相当言い合いましたよ。彼がカンファレンスで『GKはフィールドプレーヤーと練習すればするほどいいGKになる』って言い放ったんです。2人くらいはリージョの考えに賛同するって人がいたんですけど、残る全員が『これはヤバいことになるぞ』と凍り付いて。私がその後に講師で出てくることを知っていたからです。それで『ふざけるな、何を言っているんだ』となって。最終的には、出席していたミケル・エチャリが『おまえら(リージョたち)が間違っている』と一刀両断して終了しました」


「この話、記事にしても大丈夫なんでしょうか?」


ジョアン
「全然大丈夫です。嘘は書いちゃいけないですけど、本当のことですから」


「今の流れで聞きますが、バルセロナもしかり、GKも足下が大事だという風潮になっていますよね。ジョアンさんはどうお考えですか?」


ジョアン
「その考え方が素晴らしいなら、世界中のチームのGKがバルサ出身でナショナルチームもバルサのGKになっているんじゃないかと思います」


「……何も言えないですね(笑)」


ジョアン
「そう。バルサはもう10年も、下部組織からトップチームへGKを輩出していません」


「確かに」


ジョアン
「GKにキックを教えることだけで言えば、林GMの方が私よりもはるかにうまいと思います。そのためだけであれば、私は必要ありません」


「それは間違いないですね」


ジョアン
「リージョはサッカー界の哲学者です。だから、理解するのがすごく難しいです」

戦術的ピリオダイゼーションとの相違点


「話題を変えて、ピリオダイゼーションする際のフィジカルの話を聞かせてください。フィジカルコンディションを1年間整えるというのは、もの凄く難しいです。例えば、戦術的ピリオダイゼーションの場合はどこかにピークを持っていくという考え方がありません。100%に持っていくとどこかで落ちてしまうので、そうではなくてシーズンを通して80%を出し続けることを目標にコンディショニングしてるんです。要は、ピークっていうのは存在しないという考えです。ピークっていうのは短いコンペティションと長いプレシーズンがある競技で使えるものであって、プレシーズンは短くてコンペティションの期間が長いサッカーでは、ピークなんて持ってきちゃいけないと。その話をジョアンさんにしたら、ジョアンさんは『ピークを逆に2つ作ればいいんだ』というようなことをおっしゃっていましたよね。それについてもう少し詳しく聞かせてもらえますか?」


ジョアン
「以前は、シーズンが終わるまでより高い負荷をかけて、徐々に(状態を)上げていこうというふうにやっていました。ですが、シーズンは10カ月あります。そうするとシーズン終盤には、GKがフィジカル的にもメンタル的にも、相当疲れている状態になってしまいます。それは勝っていようが負けていようが同じです。なのでシーズン終盤、優勝や残留を争っている時に、GKがいい状態でないことが続きました。

 そこでまず、シーズンを前期、後期という2つのブロックで考えるようにしました。ちょうど前半戦と後半戦の間に、例えば15日ぐらいの“休み”を設けます。休みといっても、もちろん練習はします。するんですけど、通常よりはエンタメ性のある、楽しませるようなメニューで一度負荷を下げるんです。

 ただ、その『負荷を下げる』というのはメンタル的な話で、フィジカル的にはそこで極端に落とすということはありません。結局、体がいい状態でないと正しい技術を発揮できませんからね」


「なるほど。気持ち的に10カ月は続かないのでどこかでリフレッシュする期間を作って、シーズン終盤の昇降格や優勝が懸かる時に身体的にも精神的にもベストな状態で臨めるようにするわけですね」


ジョアン
「そういうことです」


「そのメンタル的な部分に関連するかもしれないんですけど、他のポジションと違ってGKは基本的に“立場”が固定されますよね、第1GKが正GKで残りの選手は控えという形で。なので第2GK、第3GKのトレーニングというのはすごく難しいと思うんですが、どうやって彼らのメンタルのコントロールやモチベーションの維持を行っているんでしょうか?」


ジョアン
「一つは、トレーニングによってうまくなってるなという実感を持たせること。それによって、もしかしたら試合に出られるかもしれないと思わせることを意識しています。

 これまでスペイン、日本で多くのGKに関わってきて、レギュラーで出ていた選手が『自分はレギュラーだ』とちょっとリラックスすることがありました。その時に第2GKは『今やっていることを続けていたら絶対に自分にチャンスが来る』と信じていました。それによって実際にシーズン中に立場が変わるということを何度も目撃してきました。

 偉大なGKを育てようと思ったら、第2GKがどれだけいい選手かというのが凄く重要になります。第1GKにプレッシャーがかかりますからね。一緒にトレーニングをして同じメニューをこなしている中で、『こいつが出場するのにふさわしいな』とお互いが証明し合っている、それが一番理想的な状態です。君が第1GKだから出るとか、第2GKだから出ないというふうに決めているわけではないんです」


「なるほど。またフィジカルの話になるんですが、次は1週間の中での負荷について聞かせてください。ジョアンの話で面白かったのが、日曜日が試合だとすると、フィールドプレーヤーの場合、負荷がかかるのは紅白戦などをやる水曜日と木曜日。一方で、GKにとって紅白戦は負荷がかかるメニューじゃなくて、シュート練習の方が負荷が高いとおっしゃっていました。この、GKの負荷の話を聞かせてもらえますか」


ジョアン
「GKの場合、試合中に負荷がかかっているのはむしろメンタル面です。ですから、まずは試合の翌日に試合の話をしっかりとしてあげないといけません。メンタル的にすごく消耗しているので、そこのストレスを軽減してあげる必要があるんです。試合直後の練習で心理的負担を減らしてあげて、その後がGKに一番身体的負荷をかける日になります。

 例えば、土曜日に試合をして日曜日にリカバーするチームだとしたら、GKの場合は日曜日に話をしてあげて月曜日はオフ。そして火曜日は身体的に強度の高い練習をする日になります。私個人としては、GKにはジョギングして終わりみたいな日は必要ないと思っています。それよりも、(試合の)次の日はちゃんと話をしてあげるのが重要です」


「なるほど。例えば、フィールドプレーヤーは試合前日も練習の負荷を落とすためにリカバリーに入りますよね。GKの場合はどうするべきでしょうか?」


ジョアン
「あらためて最初から、順を追って説明しましょう。最初の練習日が一番(身体的)負荷が高くなります。次の日は負荷の維持になるので強度を少し下げて、3日目が身体的負荷が一番下がります。チームが紅白戦をやるからです。

 次の4日目、試合前日はGKにとって負荷がかかる練習になります。ほとんどの監督がシュート練習などをメニューに組み込んでいるからです。監督はチーム全体をリラックスさせたいと考えて試合前日や2日前にシュート練習をやりますが、全てのシュートを受けるGKにとっては高負荷になるんです。その後は試合で、メンタルの負荷が最も高くなります。

 GKの場合、負荷が低くなるのは紅白戦をやる時と、前日練習が軽い時です」


「なるほど。今、チームのシュート練習が多くなるとGKの負荷が自然と高くなるというお話がありましたが、フィールドプレーヤーの練習との組み合わせの問題ってどうしてもありますよね。それが今、永遠の課題だと思っていて。チームの練習に合わせて監督から『じゃあ、今日GKは30分後から入って』だったり、あるいは練習をやっていると『ちょっと長くなりそうだから、もう10分頼む』という感じでお願いされることってよくあると思うんです。そういったことに関して、ジョアンはどう考えていますか?」


ジョアン
「今まで私がラッキーだったのは、私のやり方を監督がちゃんと信用してくれて、必要な時間ちゃんと確保してもらえたことです。60分なら60分、50分なら50分で、必要な時間はしっかりと保証してくれました。

 要するに、自分のこのトレーニングでGKを良くするためにはこれだけの時間が必要だということを、きちんと理解してもらえないといけないということです。全員ではありませんが、GKコーチの中には『早くチーム練習に持っていってほしいな』と考えながら練習している人もいると聞きます」


「いますね」


ジョアン
「それはGKコーチではありません。以前、『15分前や20分前にGKだけ練習するのはどうか』と聞かれたんですが、自分の場合は『ジムでケガの予防などのトレーニングをして、何分からピッチ練習をスタートすると決めているので、先に出てやるのは難しい』と答えました。

 あとはトップチームの場合、カップ戦があってリーグがあってと試合が続くと、ほぼリカバーと試合になってしまいます。そうやってほとんどGK練習ができない時は監督にお願いして、『一つのアクションやリストラクションをもうちょっと良くしたいから、別に時間取ってもいいですか』とお願いしたりもします。

 ベルマーレの育成年代を担当した時には、たいてい2日間は完全にGKだけでトレーニングするようにしてもらっていました」


「いやー、それはすごい」


ジョアン
「トップチームの時は、5日間の練習日があってそのうちの3日間のだいたい65%、時どき100%を自分とだけ、チームとは別でトレーニングするように時間を配分してもらっていました」


「なるほど。監督と話して、毎回最低でも65%、時には100%すべての時間GK練習をすることもあったわけですね」


ジョアン
「そうです」


「なるほど。さらに言うと、チームによってゲームモデルや、チームによって求められるGK像が微妙に違うと思うんです。例えば、バルセロナのGKコーチになった時とアスレティック・ビルバオのGKコーチになった時では、GKに必要とされるものが違ってきますよね」


ジョアン
「考え方としては、ありとあらゆるモデルに適応できるようにしなければならないというのが大前提です。そのために技術(を習得するため)の順番があるんですから。全部の技術の順番を学んだうえで、最後にそのチームのゲームモデルに影響を受けることになります」


「なるほど。ジョアンのキャッチングから始まるそのプロセスというか、トレーニングの順序をピリオダイズしていくGKトレーニングの期間分けの中では、まずはどんなチームでも通用するポータブルなGKの能力を育てて、一番最後にじゃあそのチームのGK像として、こういうものが必要だよねという要素が入ると」

ジョアン「そういうことです」


<後編はこちら

■プロフィール
Joan Miret
ジョアン・ミレッ

1960年生まれ。スペイン出身。24歳で現役引退後、スペイン・カタルーニャ州のテラッサで育成年代からプロ(スペイン2部)のGKを指導。2002年からはバスク州ゲルニカにて、育成およびトップチームのGKコーチを務めた。スペインで多くのGKをプロへと送り出した後、2013年より湘南ベルマーレのアカデミーGKプロジェクトリーダーに就任。2017年よりFC東京のトップチームでGKコーチを務めた。そして2019年より、奈良クラブのアカデミーGKダイレクターに就任する。

Translation: Kazuyoshi Kuramoto

ジョアン・ミレッ氏によるGK育成講座

奈良クラブが、数々のトップチームでGKコーチを務めたジョアン・ミレッ氏によるGK講座を開講。2019年6月〜12月にかけて、関西地区で講座を開催する。さらに、8月と12月には実技講習も開催!

【講義編】

講義内容:
(6月)ジョアン×林舞輝の特別講座
(7月)GKとは何か?GKを準備するとは?
(9月)GKの技術習得の正しい順番
(10月)どんなGKが理想か?
(11月)GKのプレー分析について


【実技編】
夏季:8/12(月)~8/13(火)、8/15(木)~8/16(金)の4日間

①午前の部(~15歳推奨)
・8時~10時 実技講習
・10時半~12時 レビュー講座

②午後の部(12歳〜推奨)
・17時~19時 実技講習
・19時半~21時 レビュー講座

冬季:12/14(土)~12/15(日)、12/21(土)~12/22(日)の4日間

①午前の部(~15歳推奨)
・8時~10時 実技講習
・10時半~12時 レビュー講座

②午後の部(12歳〜推奨)
・14時~16時 実技講習
・16時半~18時 レビュー講座

※講座の詳細や申し込みはこちらの奈良クラブ公式サイト内特設ページをご確認ください

Profile

林 舞輝

1994年12月11日生まれ。イギリスの大学でスポーツ科学を専攻し、首席で卒業。在学中、チャールトンのアカデミー(U-10)とスクールでコーチ。2017年よりポルト大学スポーツ学部の大学院に進学。同時にポルトガル1部リーグに所属するボアビスタのBチームのアシスタントコーチを務める。モウリーニョが責任者・講師を務める指導者養成コースで学び、わずか23歳でJFLに所属する奈良クラブのGMに就任。2020年より同クラブの監督を務める。