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ベルギー1部からJ2札幌へ。高嶺朋樹の想い、道産子の新主将が「一般的ではない選択」をした理由

2025.03.15

【特集】元欧州組の影響力 #4
高嶺朋樹(北海道コンサドーレ札幌)

J1連覇を成し遂げたヴィッセル神戸の成功でクローズアップされているのは、大迫勇也、武藤嘉紀、酒井高徳などの「元欧州組」の存在だ。日本代表の経験を持つエリートだけでなく、若手も含めた海外進出が加速している今だからこそ、今後は戻って来るケースもさらに増えていくだろう。世界を経験した選手たちがJクラブにどのような影響を及ぼし、何をもたらしているのか――それぞれのケーススタディについて掘り下げてみたい。

4回は、移籍後全試合に出場していたベルギー挑戦を半年で切り上げ、今年1月、3年ぶりに北の大地へと戻ってきたMF高嶺朋樹J2降格の憂き目に遭った「特別なクラブ」を救うため、欧州からの帰郷を決断し、新キャプテンに就任した27歳の覚悟を、アカデミー時代から彼を知る斉藤宏則記者が伝える。

「やはり自分にとって特別なクラブだったんです」

 「この決断が間違いではなかったことを、プレーで証明してみせます」

 1月6日。3シーズンぶりの北海道コンサドーレ札幌復帰を果たし、新加入選手としての会見を終えた直後、高嶺朋樹はそうやって淡々と心境を口にした。昨シーズンのJ1で19位に終わり、2016年以来となるJ2での戦いに挑む古巣を「1年でJ1に戻さなければいけない」という強い想いを持って復帰した、と文字にするのは簡単だ。だが、高嶺が取った選択肢はベルギー1部のKVコルトレイクからJ2の札幌への移籍である。近年では高校卒業時にダイレクトでヨーロッパに渡る選手もいれば、20代後半にしてチャンスをつかみ同地へと勇んで渡る選手も多い。大多数とも言えるほどの選手が世界トップのフェデレーションであるUEFAでのプレーを志しているなかで、あえて人の流れに逆らい帰郷した北の大地。「一般的ではない選択をしたというのは、自分が一番よくわかってるんです」とも言葉を重ねた。

 札幌への復帰は2度目となる。

 かつて札幌のアカデミーに在籍していた高嶺は、早くから多くの関係者に実力の高さを評価されていた。札幌U-18からトップチームに昇格する可能性も十分にあったが、それは叶わず。結果として筑波大へと進学するのだが、「正直、大学入学当初は『絶対に札幌以外のJクラブに入って札幌を倒してやる』と考えていたんです(笑)。そのくらい悔しかったんですよね」と話していた。「でも、気がつくとネットなどで札幌の試合結果や途中経過をチェックしている自分がいた。やはり自分にとって特別なクラブだったんです」……

Profile

斉藤 宏則

北海道札幌市在住。国内外問わず様々な場所でサッカーを注視するサッカーウォッチャー。Jリーグでは地元のコンサドーレ札幌を中心にスポーツ紙、一般紙、専門誌などに原稿を寄稿。

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