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国籍の多様化?円安の影響?むしろ日本人重視?エージェント・柳田佑介が解説する、Jリーグ外国籍選手補強のトレンド

2024.09.23

【特集】Jで活躍する外国籍選手の条件#7

若手を中心に海外移籍が加速し、選手編成の流動性が増している近年のJリーグだが、外国籍選手の国籍もヨーロッパや南米だけでなく、アジア(+オセアニア)、中東、アフリカなど多様化している。様々なバックボーンを持つ“助っ人たち”が日本に渡ってくる中で、Jリーグで活躍できるのはどんな選手なのだろうか? 各ケーススタディを掘り下げつつ、通訳や代理人の考察も交えて迫ってみたい。

第7回では、移籍市場を主戦場としているエージェント(代理人)の柳田佑介氏にインタビューを実施。Jリーグの外国籍選手獲得のトレンドについて、市場全体の傾向やクラブの戦略などの視点から詳しく解説してもらう。

J1とJ2では傾向が違う

――近年、Jリーグクラブの外国籍選手獲得に関して多様化が進んでいる印象があるのですが、エージェント視点ではどういったトレンドがあると感じられていますか?

 「前提として、Jリーグとひと括りにするのではなくJ1とJ2以下で分けて考える必要があります。そのうえで、J1に関しては今までにあまりなかった北欧や東欧、さらにはアフリカ人選手の獲得が増えていて、多様化しているのは間違いありません。詳しくは後述しますが、理由の1つとしてライセンス制度が復活して、エージェントの数が増えたことが挙げられます。

 これまでも海外のエージェントなどから様々な国籍・バックグラウンドの選手のJリーグへの売り込みはありました。ただこれまでは、(仲介人時代も含め)Jクラブが信頼して選手獲得のための交渉を依頼するのは実績がある、ライセンスを持っているエージェントに限られていた印象で、それらのエージェントが『この選手は日本に合うだろう』と選別した選手をある程度固まったルートから紹介するということが多かったように思います。つまりそうした状況で日本市場にリーチできていなかった海外のエージェントや選手の情報が、新しくライセンスを取得し、これまで必ずしも外国籍選手を手がけた実績のないエージェントの方々が窓口になることによってJクラブに届けられるようになり、日本にやって来るケースが増えています」

参照:『Transfermarkt』

――なるほど。そうした多様化の一方で、特にJ1で韓国人選手の割合が減ってきている傾向にあるのですが、どういった理由があるのでしょうか?……

Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。