古巣・鹿島を飛び出し柏レイソルへ。「良い形で積み上がっている」垣田裕暉に漂う爆発の予感
【特集】Jリーグ夏の新戦力、救世主は誰だ?
#4 垣田裕暉(柏レイソル)
今夏も動きが活発化している移籍市場。経験をもたらすベテランから即戦力として期待を背負う実力者に武者修行で再起を図る若手まで、各Jクラブが補強した救世主候補たちの物語を番記者がお届けする。
第4回は、ジュニアユースから籍を置いてきた古巣・鹿島アントラーズを飛び出し、柏レイソルに完全移籍した垣田裕暉。井原正巳監督が「うちのチームが求めているものに合致する」と語った大型CFは、リーグ屈指のチャンスクリエイト数をゴールという結果に結びつける切り札として期待されている。
7月20日、J1第24節・川崎フロンターレ戦。
67分にファーサイドに飛び込んだ垣田裕暉は、山田雄士のクロスにヘッドで合わせ、豪快にネットを揺らした。柏レイソル移籍後、初スタメンにして初得点。強烈な挨拶がわりの一撃に、ゴール裏を黄色く染めた柏のサポーターは沸き上がっていた。
井原監督が“求めているもの”と合致
垣田は、過去にツエーゲン金沢、徳島ヴォルティス、サガン鳥栖に在籍した経験はあるものの、そのすべてが期限付き移籍だった。しかし今回の柏への移籍は完全移籍。鹿島アントラーズの下部組織出身の垣田にとっては、自分が育ったクラブを離れるという決断は、相当な覚悟が必要だったに違いない。
今年の7月14日で27歳になる。一般的にフットボーラーとしては絶頂期に入る年齢だ。その時期に、今シーズンの公式戦の出場試合数が6と、活躍の場が限られていたことには、垣田自身がもどかしさを感じていたことだろう。
柏加入直後、取材の場で垣田に移籍の理由を問うと、彼は毅然とした表情でこう答えた。
「1人のサッカー選手として出場機会を求めて、自分が活躍できるイメージを持つクラブに来ました」
井原正巳監督は、垣田の獲得について「うちのチームが求めているものに合致する」と話す。
では、その“合致するもの”とは何か。それは柏の攻撃の特長と、垣田のプレースタイルである。……
Profile
鈴木 潤
2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。