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「絶対負けちゃあいけない」浦和浮上の起爆剤へ。本間至恩に求められる献身と変身

2024.08.10

【特集】Jリーグ夏の新戦力、救世主は誰だ?
#2 本間至恩(浦和レッズ)

今夏も動きが活発化している移籍市場。経験をもたらすベテランから即戦力として期待を背負う実力者に武者修行で再起を図る若手まで、各Jクラブが補強した救世主候補たちの物語を番記者がお届けする。

第2回は、クルブ・ブルッヘから浦和レッズへと電撃加入した本間至恩に注目。J1で上位から遠ざかる中、主力の相次ぐ退団で逆風が吹く浦和を浮上させるには何が必要なのか。番記者のジェイこと、沖永雄一郎氏が期待するのは献身と変身だ。

 浦和レッズはJ1の24試合を終えて9勝6分9敗。20チーム中11位の、まごうことなき中位。

 さすがに由々しき数字である。リーグ優勝を掲げて2024シーズンをスタートしたのだからなおさらだ。

 パリ五輪による中断期間までに様々なことがあったが、何より大きなトピックとして、昨季のACL優勝を支えた主力のうち、8月10日正午現在までで岩尾憲、アレクサンダー・ショルツ、酒井宏樹の3名がチームを去った。巻き返しのためには、既存選手の奮起だけでなく新たな力が必要となる。

 夏の移籍で新たに加わった二田理央、本間至恩、長沼洋一の3名のうち、特段に期待度が高いであろう、本間が救世主たり得るのかを本稿では考察してみたい。

「すべてが足りなかった」欧州挑戦を諦め浦和を選んだ理由

 本間至恩の国内復帰は少なくない驚きをもって報じられたが、2023-24シーズンの状況から可能性が低いものでもなかった。アルビレックス新潟を巣立ちベルギーに渡ってからの2シーズンで、1部でのリーグ戦出場はわずかに3試合。大半を2部(クルブ・ブルッヘのリザーブチームであるクルブNXT)で過ごしていた。『移籍先』についての驚きの方が大きかったかもしれない。

 国内復帰にあたって、なぜ浦和を選んだのか。本間はその理由について「キャリアの2、3年目が終わった時に一度話をさせていただいて、ずっと自分のことを追ってもらっていました。そういう信頼関係、必要としてくれるチームでプレーしたいですし、そういった理由で決めました」と語っている。さらには、25年に行われるクラブW杯に出場することも「一つの決め手」だったという。本間にアプローチを続けた浦和の姿勢と、世界一決定戦への切符を手にした成果が実った格好だ。

 ただ、ベルギー1部での出番は限られていたものの2部では出場機会を得ており、欧州挑戦を続ける道もあったはずだ。国内復帰に至った理由を問われると、意外にも(?)弱気な言葉が並んだ。……

Profile

ジェイ

1980年生まれ、山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』浦和担当に。footballistaには2018年6月より不定期寄稿。心のクラブはレノファ山口、リーズ・ユナイテッド、アイルランド代表。