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イングランドはなぜ、(前半だけ)面白くなったのか?中央で2対4の数的不利を放置、どうかしていたオランダの守備【EURO分析】

2024.07.11

【特集】EURO2024注目マッチ分析#6
準決勝:オランダ 1-2 イングランド

7月14日までドイツで開催されるEURO2024。グループステージから決勝ラウンドまで注目の試合を、各国の事情に精通するレギュラー執筆陣や戦術分析のスペシャリストが独自の視点で深堀り!

ラウンド16のスロバキア戦は敗退目前でベリンガムの起死回生のオーバーヘッドで生き残り、準々決勝ではスイス相手にPK戦で勝利。豪華メンバーをそろえながら薄氷の展開が続くサウスゲートのイングランドが、準決勝オランダ戦でついに目を覚ました(?)。その要因を西部謙司氏に分析してもらおう。

前半だけ「面白い」。後半はいつものイングランド

 連載でも取り上げたイングランドは「つまらない」ことに定評(?)があるわけですが、それは一方的に保持する展開になった場合です。

 要因としては、裏を取る攻撃が少ないこと。裏へ動くのはほぼサカだけなので、相手はコンパクトに守ってフォーデン、ベリンガムの間受けを制限することができた。結果的に守備ブロックの手前で延々とパスが回っているだけ。まあ、面白くないです。

 ただし、イングランドが「つまらない」のは保持する場合なので、相手が強くなって前に出てきてくれればカウンターができますから、ノックアウトステージに入れば面白くなるだろうと期待していました。

 イングランドが面白くなりそうな機会はようやく準決勝でめぐってきます。相手はオランダ、不足なし。

 そしてこの試合の前半、イングランドは面白いサッカーをしていました。フォーデンが躍動し、メイヌーが輝き、ケインも存在感を示しています。しかし、それも前半だけでした。後半はいつものイングランド。

 前半と後半で何が変わったのでしょうか。なぜ、面白くなったイングランドが再びつまらなくなってしまったのか。その答えを探るには、イングランドではなくオランダを見るべきでしょう。変わったのはイングランドではなく、オランダだったからです。

EURO2024準決勝、オランダ対イングランドのハイライト

「3バックあるある」にはまったオランダ

 前半のイングランドは面白くなっていました。その原因はオランダにあります。ここからしばらくはオランダの悪口になります(笑)。

 イングランドは[3-4-2-1]、オランダは[4-2-3-1]の建付けでスタート。

 6分でシモンズがライスからボールを奪ってそのままフィニッシュ、オランダが先制します。しかし、オランダはイングランドのビルドアップを制御できず、フォーデンとベリンガムにどんどんパスが入っていく。14分にはベリンガムの攻め込みから最終的にケインがファウルされてPKゲット。ケインが決めて18分に追いつきます。

 その後もイングランドの攻勢が続き、フォーデンは2つの決定的なシュートを放ちますが、ゴールカバーのDFとポストに阻まれる。しかし、いつになくイングランドの攻撃力が光る45分間となりました。

 イングランドが面白くなったのは、オランダの守備が酷かったからです。……

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。