「スタジアムが主人公」スポーツビジネスの先駆者アメリカの事情と傾向
なぜ、新プロジェクトが続々発表?サッカースタジアムの未来#5
Jリーグ30周年の次のフェーズとして、「スタジアム」は最重要課題の1つ。進捗中の国内の個別プロジェクトを掘り下げると同時に海外事例も紹介し、建設の背景から活用法まで幅広く考察する。
第5回は、スポーツビジネスの先進国アメリカにおけるスタジアムとの向き合い方にスポットライトを当てる。スポーツビジネスのプロフェッショナルであり、梓設計スポーツ・エンターテインメントドメインのアドバイザーを務め日本のスタジアム建設にも造詣の深いBlue United Corporationの中村武彦氏に、スタジアムビジネスを成り立たせるためのベースとなる考え方を中心に解説をしてもらう。
スタジアムに人を呼ぶためにチームがある
――中村さんには過去にもアメリカのスポーツビジネス事情についてお話を伺っており、その中でMLSも含めたアメリカのスポーツビジネスにおいてスタジアムがいかに重要なのかをご説明いただきました。最初に、あらためてその理由について聞かせてください。
「アメリカと他の国のスタジアムビジネスにおける最も大きな違いは、オーナーにとってスタジアムとチームの主従関係が逆である点です。他の多くの国では主体はチームですが、アメリカでは主人公はスタジアムです。スタジアムビジネスにおいて最も大事なことは、人に訪れてもらい使ってもらうこと。そのためにスポーツチームがあり、あるいはコンサートなどのイベントを招致することで人を惹きつけて、ビジネスとして成り立たせるかというスタジアムからの視点で物事を考えています。……
Profile
久保 佑一郎
1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。