大宮アルディージャ、同じ過ちを繰り返し続けての降格。J3で求められるビジョン【特集:J3に落ちたときに大事なこと】
J3に落ちたときに大事なこと#5 大宮アルディージャの場合
近年の競争激化で、J2からJ3に降格したクラブは簡単には上がれなくなった。今J3で何が起きているのか、降格した後チームは何をどう準備すべきか。降格経験のあるクラブの番記者が降格当時の事情、そしてその時に何が大事だったかを振り返る。
第5回は2023シーズンのJ2で21位に終わり、初めてJ3での戦いへと身を投じることになる大宮アルディージャ。予算規模ではリーグ上位にありながら低迷が続いたここ数シーズンの問題点を指摘するとともに、1年でのJ2復帰のために必要となることを須賀大輔が提言する。
最後まで、そのドラマが起こることはなかった。
かつての大宮アルディージャは、10年連続でJ1に在籍し、年間5位の好成績を残したシーズンもあった。しかし、2018年から再度J2での生活が始まると、年々、成績は後退。2度目の降格から6年目となった2023年はついにJ3降格を余儀なくされた。クラブ創設25周年の節目にその憂き目に遭ったことが、より一層、その凋落ぶりを色濃くする。進むべき道と突き詰めるべきスタイルを見失ったオレンジネイビーに、J2に踏みとどまる力はもはや残されていなかった。
今季の大宮は、幸先の良いスタートとは言えずとも、ホームでは開幕から4連勝とまずまずの結果を残した。2年連続で残留争い巻き込まれていたチームを考えれば悪くない出足であった。それが2月中旬の開幕から4月頭のことである。ところが、4月中旬以降からはパタッと勝てなくなる。成績表には黒い丸がいくつも連続して並び、時に白が見えてもそれは三角形。順位表の位置は毎週のように落ちていった。結局、4月8日のJ2第8節モンテディオ山形戦(○2-1)を最後に15戦勝ちなしが続き、その期間は2度の6連敗を含めた2分13敗の惨憺たる成績であった。その間、5月17日の第16節いわき戦(●1-2)後には監督が交代。同時に順位も最下位に転落し、その後もしばらくはそこが定位置となった。
それでも、その時点ではシーズン全体を見れば、折り返しを少し過ぎたくらいで残留圏とは10ポイント差。ギリギリではあるが、巻き返す時間も試合数もまだ残されていた。
そんな時期に聞いた言葉がある。……
Profile
須賀 大輔
1991年生まれ、埼玉県出身。学生時代にサッカー専門新聞『ELGOLAZO』でアルバイトとして経験を積み、2016年からフリーライターとして活動。『ELGOLAZO』では柏レイソルと横浜FCの担当記者を経て、現在はFC東京と大宮アルディージャの担当記者を務めている。その他の媒体でも、執筆・編集業を行っている。@readysuga1214