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「俺がやらなきゃ」――道脇豊。プロとして経験を重ね、ケガを乗り越えた9番の自覚

2023.11.10

U-17W杯から占う日本の未来 #7

コロナ禍を経て2019年以来の開催となるU-17W杯が、11月10日にインドネシアでいよいよ幕を上げる。前回王者ブラジルをはじめとする24カ国が17歳以下の世界一を争うFIFA主催国際大会の最年少カテゴリーは、アンドレス・イニエスタからフィル・フォデンまでのちのワールドクラスが頭角を現してきた若手見本市。AFC U17アジアカップ優勝チームとして森山佳郎監督が招集した全員国内組の“06ジャパン”にとっては、18歳から解禁される国際移籍も見据えてその才能をビッグクラブにまで知らしめる格好の舞台でもある。逸材集団の登竜門への挑戦を見届けながら、彼らが背負う日本の未来を占っていこう。第7回はU-17日本代表の注目選手として道脇豊(ロアッソ熊本)にフォーカスする。

 「ケガの状態もあって、自分としても(選ばれるかどうか)心配だったのでホッとしました。チームのトレーナーはもちろん、病院の先生などいろんな方のおかげで行けるので、そういう人たちのためにも頑張らないといけないなと感じています」

 インドネシアで開催されるFIFA U-17ワールドカップ2023に臨む日本代表に選出されたFW道脇豊(ロアッソ熊本・東海大学熊本星翔高2年)は、10月25日に行われたメンバー発表の翌日、そう言って胸を撫で下ろした。

 U-17日本代表の森山佳郎監督も、「ケガが治っていない状況で選んだ選手もいる」と道脇の名前を挙げ、「開幕までにコンディションを上げてくれれば」と話していたが、国内キャンプで行った関東大学選抜とのトレーニングマッチ(10月31日)では、同じ熊本出身の吉永夢希(神村学園高)からのラストパスを受けて得点を挙げるなど調子は上向きの様子。「中学3年の時から1つの目標にしてきた」(道脇)という本大会でも、AFC U-17アジアカップ同様にチームを引っ張る活躍が期待される。

熊本県熊本市出身でジュニアユースからロアッソ熊本に所属する186cmの長身ストライカー。AFC U-17アジアカップではグループステージ第1節のウズベキスタン戦(1-1)、第2節のベトナム戦(0-4)、準々決勝のオーストラリア戦(3-1)、そして決勝の韓国戦(0-3)でゴールネットを揺らした

アジア杯4発!熊本での成長を代表で見せる

 中学卒業前に2種登録された昨季とは違い、高校に籍を置きながらプロ契約を交わしトップチームの一員となって迎えた今季、ここに至る道のりは決して順調だったとは言い難い。……

Profile

井芹 貴志

1971年、熊本県生まれ。大学卒業後、地元タウン誌の編集に携わったのち、2005年よりフリーとなり、同年発足したロアッソ熊本(当時はロッソ熊本)の取材を開始。以降、継続的にチームを取材し、専門誌・紙およびwebメディアに寄稿。2017年、母校でもある熊本県立大津高校サッカー部の歴史や総監督を務める平岡和徳氏の指導哲学をまとめた『凡事徹底〜九州の小さな町の公立高校からJリーガーが生まれ続ける理由』(内外出版社)を出版。