FEATURE

抜群のセンスと向上心を持つ矢田龍之介。ニューヒーロー賞の先輩MF早川隼平の背中を追って

2023.11.08

U-17W杯から占う日本の未来 #3

コロナ禍を経て2019年以来の開催となるU-17W杯が、11月10日にインドネシアでいよいよ幕を上げる。前回王者ブラジルをはじめとする24カ国が17歳以下の世界一を争うFIFA主催国際大会の最年少カテゴリーは、アンドレス・イニエスタからフィル・フォデンまでのちのワールドクラスたちが頭角を現してきた若手見本市。AFC U17アジアカップ優勝チームとして森山佳郎監督が招集した全員国内組の“06ジャパン”にとっては、18歳から解禁される国際移籍も見据えてその才能をビッグクラブにまで知らしめる格好の舞台でもある。その戦いぶりを追いかけながら、日本の未来を占っていこう。第3回はU-17日本代表の注目選手として矢田龍之介(清水エスパルスユース)にフォーカスする。

“ワンエフシー”の先輩と後輩、分かれた道のり

 「僕も追い付いて、追い越さないといけない」

 U-17日本代表のMF矢田龍之介がそう語った相手は浦和レッズのMF早川隼平だ。

 現在は清水エスパルスユースに所属し、高校2年生ながら二種登録選手としてルヴァンカップにも出場した矢田龍之介は、北海道千歳市の出身で、埼玉に引っ越すと小・中学生の時期は“ワンエフシー”の通称で知られるサッカークラブ「1FC川越水上公園」でボールを蹴っていた。その1学年先輩に早川がいたのだ。

 もっとも、早川は浦和レッズのジュニアユースに進み、そのままユースにステップアップしていった。今年は高校3年生にしてトップチームのリーグ戦にも絡み、ルヴァンカップでは21歳以下で最も輝いた選手に贈られるニューヒーロー賞を獲得するなど、飛ぶ鳥を落とす飛躍を見せている17歳だ。矢田は1学年上の早川の存在について「ジュンペイは何度か帰省して、一緒にサッカーとかするんですけど、凄いっすよ。プロで出続けて……やっぱり刺激になります」と憧れを隠さない。

 一方の矢田は、大宮アルディージャのジュニアユースのセレクションを受けるが、合格を勝ち取ることはできなかった。「落とされた時は本当に悔しかったので、中学校に入ってから受かった人より努力したいと思いました」と振り返る矢田は“ワンエフシー”でスキルを磨き、その後は清水エスパルスユースに加入し、2006年生まれながら1つ上のU-16日本代表に選ばれるなど、頭角を現してきた。

目標にしている選手は「田中碧」

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Profile

河治 良幸

『エル・ゴラッソ』創刊に携わり日本代表を担当。Jリーグから欧州に代表戦まで、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。セガ『WCCF』選手カードを手がけ、後継の『FOOTISTA』ではJリーグ選手を担当。『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(小社刊)など著書多数。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才能”」に監修として参加。タグマにてサッカー専用サイト【KAWAJIうぉっち】を運営中。