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東ジョン、潜在能力の高さと2年半の下積みを経て、SC相模原で開花する才能

2023.11.01

レンタル選手の現在地2023 #8
東ジョン(名古屋グランパス→SC相模原)

バル・フットボリスタでも取り上げた「ポストユース問題」。J1でプロ契約した高卒選手がその後どのように試合経験を重ねていくかは、日本サッカーの発展を考える上で大きな課題だ。J2やJ3への期限付き移籍はそれを解決する1つの手段だが、修行先でも厳しい戦いが待っている。試練を乗り越えて活躍する若手選手たちの「現在地」を徹底レポート。第8回は、名古屋グランパスからSC相模原にレンタルされている東ジョンを取り上げる。

東ジョンが描く成長曲線

 安定感のあるシュートストップ、ゴール前での落ち着いた1対1、脅威的な反応速度……。シーズンの後半戦になって勢いを増すSC相模原のゴール前で絶大な存在感を放っているのが東ジョンだ。今季の7月、名古屋グランパスから育成型期限付き移籍でやってきた東は即戦力として活躍しつつ、脅威の成長を遂げている。

 東は名古屋グランパスU-18時代からポテンシャルの高さを発揮していた。2019年、日本クラブユース選手権大会、Jユースカップを制し、プレミアリーグファイナルにまで進出した名古屋グランパスU-18。「史上最強世代」と呼ばれたチームのゴールマウスを東は守っていた。

 1学年上でトップチームに昇格内定していた三井大輝と出場機会を分け合い、当時から高校生離れした高い身体能力を生かしたセービングを得意としていた。大学を経由せず2021シーズンにトップチームに昇格。栃木SCへの期限付き移籍が同時に発表された。

 栃木では出場機会を得られず、2023年も復帰した名古屋、期限付き移籍した水戸ホーリーホックで試合に出ることはかなわなかった。

 「『試合に出なかったから無駄な時間だった』というのは全くなく、名古屋や栃木、水戸でもいいGKコーチに出会えて、自分のためのレベルアップはもちろんできました」と相模原へ移籍してくるまでの時間を振り返る。所属したそれぞれのクラブで、Jリーグで求められる基礎レベルを高い水準に引き上げてきた。

Photo: ©S.C.SAGAMIHARA

 その能力を相模原で指導にあたる松本拓也GKコーチも認め、「もともとの基礎レベルが比較的高かったので、想定外の時にスムーズに体を動かせる」と東について語っていた。……

Profile

舞野 隼大

1995年12月15日生まれ。愛知県名古屋市出身。大学卒業後に地元の名古屋でフリーライターとして活動。名古屋グランパスや名古屋オーシャンズを中心に取材活動をする。2021年からは神奈川県へ移り住み、サッカー専門誌『エル・ゴラッソ』で湘南ベルマーレやSC相模原を担当している。(株)ウニベルサーレ所属。