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渇望したタイトル獲得。アスレティックにとってのスーパーカップ制覇の意義

2021.01.25

【アスレティックの 「純血主義」は今――異端なるバスクサッカーをたずねて#7】

グローバル化の時代にあって「属地主義」を貫くアスレティック・クラブが、スペインスーパーカップで久々となる戴冠を遂げた。このタイトル獲得は、 唯一無二のフィロソフィに胸を張る一方、タイトルからは遠ざかってきたアスレティックにとってどんな意味を持つのか。本特集の最後を飾る原稿として、昨年現地を取材した木村浩嗣さんに綴ってもらった。

 アスレティック・クラブがレアル・マドリーとバルセロナを破ってスペインスーパーカップを獲得したことは、スポーツ面、クラブ組織面で大きな意義がある。

 まずスポーツ面。2014-15シーズンのスペインスーパーカップ以来6年ぶりのタイトル獲得は「バスク生まれ、または育ちの選手だけでチームを作る」というフィロソフィを補強することになったのは間違いない。

 1995年のボスマン判決でEU内選手やEUパスポートを持つ中南米の選手の獲得が自由化されたことで、アスレティックの競争力は相対的に落ちている。伝統的にカップ戦に強く、コパ・デルレイの優勝24回はバルセロナに次ぐ2位でレアル・マドリーをも上回っているのだが、最後に優勝したのは1983-84と40年近くカップを掲げられていない。……

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。