EURO開催に反対する人たち。スペインへの反発、バスク独立運動の現在
【アスレティックの 「純血主義」は今――異端なる バスクサッカー をたずねて#5】
史上初めて12カ国での分散開催となるEURO2020で、スペインでの試合会場にアスレティックの本拠サン・マメスが選ばれた。しかし、当地ではこれに反対する人々がいるのだという。昨今、社会問題として大きな注目を集めサッカーにも影響を及ぼしたカタルーニャ同様、スペインからの独立を求めるバスクの独立運動の今に迫る。
2020年2月にビルバオでサッカーのカンファレンスに出席した時のこと。ビルバオ市の関係者がEURO2020(同年3月17日に1年延期が決定)の開催都市の1つに選ばれた経緯を説明していると突然、2人の男が登壇しバスク語で何やら叫び始めた。手にはバスクの旗――。どうやらEUROのビルバオ開催、もっと言えばスペイン代表の試合開催(3試合が行われる予定だった)に反対する勢力らしい。
スペイン代表は1967年を最後にサンマメスで試合をしていない。スペインとは異なる言語、文化を持つバスクには中央政府による支配を良しとせず、“スペイン代表=支配者スペインの代表”という捉え方をする者もいるからだ。バスクには当然バスク代表があり人気があるものの、UEFAとスペインサッカー連盟の認識は地域代表の1つに過ぎず、イギリスにおけるスコットランドのような位置付けにはなっていない。……
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。