4年に一度の祭典、W杯の楽しみ方の一つに、まだ見ぬタレントとの出会いがある。ロシア大会でも、多くの新星が脚光を浴びた。その中でも、特大のインパクトを残した11人を厳選してお届け。その鮮烈なプレーを今一度思い出すとともに、開幕した18-19クラブシーンでの彼らのさらなる飛躍にも注目してほしい。
文 大谷 駿
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多彩なキックで名を上げた“10番”
COLOMBIA|MF20
Juan QUINTERO
ファン・キンテーロ
1993.1.18(25歳) 169cm / 62kg
リーベルプレート(ARG)
負傷を抱えたハメスがフル稼働できなかったコロンビアにあって、好パフォーマンスを披露し名を上げたのがキンテーロだった。得意の左足から繰り出すキックは多彩で、日本戦で飛び上がった壁の下を抜いて決めた直接FKをはじめ、プレースキックでもオープンプレーでも多くのチャンスを演出。GSではチームの5ゴールのうち3つに絡んだ。典型的な“10番”タイプでモダンな選手ではないが、存在感は抜群だった。
“イブラ後”を象徴する献身性
SWEDEN|MF17
Viktor CLAESSON
ビクトル・クラーソン
1992.1.2(26歳) 183cm / 79kg
クラスノダール(RUS)
クラシカルな[4-4-2]で戦ったスウェーデンにあって、左のフォシュベリが技巧派のアイディアマンなら、直線的な正統派ウインガーである右のクラーソンは攻撃のアクセントであり効果的なスパイスだった。クラブレベルで勝手知ったるロシアの地で躍動し、5試合で2アシストをマーク。攻守に献身的な姿勢も光り、組織とチームワーク重視で8強まで勝ち進んだ“イブラヒモビッチ後”のスウェーデンを象徴する存在だった。
ドイツを砕いたカウンターの急先鋒
MEXICO|FW22
Hirving LOZANO
イルビング・ロサーノ
1995.7.30(23歳) 176cm / 70kg
PSV(NED)
メキシコがドイツを1-0で破ったGS初戦での決勝弾は今大会のハイライトの一つ。教科書通りのカウンターで、ラストパスを受けると落ち着いた切り返しから思い切り良くネットを揺らした。それ以外でも、ピッチを豪快にアップダウンし、攻めてはカウンターの急先鋒となり、守っては献身的なカバーリングを見せるなど、戦う姿勢とフォア・ザ・チームの意識が同居したプレーぶりは見る者に爽やかな印象を残した。
日本も苦しんだセネガルの若き伏兵
SENEGAL|FW18
Ismaïla SARR
イスマイラ・サール
1998.2.25(20歳) 175cm / 70kg
レンヌ(FRA)
マネのチームと思われていたセネガルだが、エースがいる左サイドではなく右に伏兵がいた。スピードとパワーに満ちた若者と対峙した長友佑都は「縦の突破だけなら世界トップクラス」と言い、乾貴士も「18番は速過ぎた。予想以上だった」と舌を巻いた。このサールと19歳のSBワグエが組むセネガルの右サイドは、若さゆえか守備は緩く徐々に日本攻撃陣の侵攻を許したが、それでも攻撃は迫力満点で魅力的だった。
プレーも気持ちも強いアタッカー
CROATIA|FW18
Ante REBIĆ
アンテ・レビッチ
1993.9.21(24歳) 185cm/77kg
フランクフルト(GER)
誰もがチャンスメイカーにもシューターにもなれるクロアチアの攻撃陣の中で、左のペリシッチと頻繁にサイドを入れ替えながら、経験豊富な名手に勝るとも劣らない存在感を放った。ゴールこそアルゼンチン戦で相手GKのミスを見逃さずに決めたボレーだけだったが、随所で見せたパワフルかつダイナミックな突破や飛び出しからは負けん気の強さも感じさせた。近々、ビッグクラブで姿を見ることになるかもしれない。
Photos: Getty Images