至高のチームをWCCFで再現!私のベストイレブン
15周年の節目を迎えたWCCF。醍醐味である国やクラブ、時代を超えた自分だけの“ドリームチーム”作りはもちろんのこと、自分が好きな国やクラブの選手を集めて最高のチームを作る“○○縛り”も楽しみ方の一つとして定着している。その長い歴史の間に積み重ねられてきた百花繚乱のカードを使って、一家言あるフットボリスタ執筆陣が選ぶ最高の○○チームを、ここに再現する。
#5 小川由紀子さんが選ぶ至高のフランス代表
1対1に強く当たり負けしないパワーとスピードを備えたバックス陣、ガツっと相手からボールが奪えてそれを知的に展開できる中盤、そこから先はクリエイティブなパス交換からゴールを狙う――これがフランス代表の真骨頂である、という独断から選んだメンバーがこちら。
フランスサッカー史上最高の選手と呼ばれるプラティニやゴールハンターのパパンらは入っていない。現役時代のプレーを実際に見たことがなく、イメージが湧きづらかったのであえて外させてもらった。
となると「もうW杯98年大会のメンバーで良いじゃないか」となりそうだったので、ここ最近のメンバーをほど良くブレンドしている。
GKは、技術はもちろんのこと相手をゴールに寄せつけない神がかり的なものを“持っている”選手が個人的に好みなので、坊主頭がチームのお守り代わりにもなっていたバルテズをチョイス。
小川さんいわく「坊主頭がお守り代わり」のバルテズ(左)。1994年から2006の間に代表通算87試合に出場した
近年人材不足のDFラインは、どうしても98年組が主になってしまった。「もうお願いだからついてこないでほしい」と相手が音を上げるテュラムのようなSBは、フランス代表では久しく見ていない気がするので無条件でイレブン入り。CBはインテリジェンスとフィジカルが融合したブランとデサイーのコンビに任せ、左SBはあえて当確リザラズをベンチに座らせ現役のメンディを選んだ。小回りの利く守備に精度抜群のクロスと、23歳にして攻守で相当ハイレベルだ。右側の圧が非常に高い分、左に軽快感を出してバランスを取っている。
中盤は、マケレレ+ビエラの最強コンビ。2人とも相手からのボール奪取がとにかくうまいが、マケレレはその後のキープ力が抜群。ビエラはそこから豪快に自らドリブルで持って上がることもできる。中盤でのボール保有権争いは、この2人に任せておけば心配ない。彼らが出したパスを、うまいこと展開するのが周囲のアタッカーを生かせる極上のパサー、ジダンである。ムバッペがその自慢の加速で走り出したのを見逃さずにパスを出してやれるだろうし、彼が外してもゴール前にはどこからでも打てるアンリ兄さんがいるからセカンドチャンスをふいにすることもない。
パワーとスピードを兼ね備え、群を抜くモビリティで中盤を制圧するボールハンターのマケレレ(右)とビエラ。(左はマルーダ)
あえてベンゼマ
そして、現実ではチャンスに恵まれていないベンゼマを、あえてここではイレブンに加えてみた。代表でたいした結果を出していないのは事実だが、ゴールに近いあの位置でのボールキープ力と得点力は超一級で、作り手にも決め手にもなれる。個性が強くてチームの不満分子になるという噂もあるが、うさん臭いから無視していいだろう。それに司令塔には、彼とアルジェリアの実家もご近所で、レアル・マドリーでも一貫してサポートし続けてくれているジダン叔父さんが構えているから、彼の良さをじっくり引き出してくれるはず。
現代表は能力的に良い選手はそろっているが、カリスマ性がある選手がおらずキャラクターに乏しい。ビッグトーナメントでは、精神面やキャラクターが大きな役割を担う。その点このイレブンは、各ラインにリーダー格を配置してメンタル面でもブレない猛者ぞろいになっているはず。
2006年ドイツW杯のラウンド16スペイン戦後、セルヒオ・ラモスと握手を交わすジダンと彼に抱きつくアンリ
大昔、イングランドの屈強なスタイルが欧州を席巻していた頃、「フランスのFootballはFrivole(おたわむれ)だ」とバカにされていたそうだ。しかしフランス人たちは、それを自分たちのスタイルにして、いつしか褒め言葉に変えてしまった。特色の違うバラエティ豊かなメンバーが遊ぶようにプレーしているのになんだか強い――このイレブンはまさにそんなチームだ。
■『WCCF』 基本情報
商品名 WORLD CLUB Champion Football 2017-2018
ジャンル スポーツカードゲーム
公式サイト http://www.wccf.jp/
全国のゲームセンター等で絶賛稼働中!
■WCCFで再現!私のベストイレブン
・#1 頂点を極めた歴代ラ・ロハ以上!華麗なる”最光”スペイン代表
・#2 取られた以上に取ればいい。破壊力なら宇宙一のセレソン
・#3 「ポゼッション下手」よさらば。PK戦も心配無用のイングランド
・#4 「10番が多いほど美しい」。「個」>「組織」がアルゼンチン
Photo: Getty Images
Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。