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パンデミックが“ケガとともに生きる”34歳ガゴにもたらした恩恵

2020.10.24

 コロナパンデミックによる緊急事態下、かれこれ4カ月もあらゆる社会・経済活動の停滞状態が続いたアルゼンチン。7月下旬の時点ではサッカーも試合どころか練習さえ再開していなかった。そんな中、とても喜ばしいニュースが飛び込んできた。2月に左膝十字靱帯の手術を受けていたフェルナンド・ガゴが、所属先のべレス・サルスフィルと来年12月31日まで契約を更新したのだ。

 月刊フットボリスタ第67号の『ケガとともに生きる』特集でガゴについて書かせていただいたが、あの時も彼は一昨年12月のコパ・リベルタドーレス決勝で負ったアキレス腱裂傷から回復したところだった。8カ月後に親友ガブリエル・エインセが監督を務めるベレスでピッチに完全復帰し、ゲームメイカーとしての持ち前の研ぎ澄まされたセンスを発揮。エインセと一緒に若手が軸のチームを引っ張り、リーグ戦3位に入ったベレスに不可欠なリーダーだったことは間違いなかった。

 それだけに今年1月31日、またしても全治半年以上の大ケガをした時は、ベレスのサポーターだけでなく古巣ボカ・ジュニオールのファンも嘆き悲しんだ。ガゴとは個人的に親しい私の夫も負傷の報せに心を痛め、手術当日に励ましのメッセージを送ったところ、即座に「ありがとう!」との返事が届いた。キャリアで5度目の手術。回復に必要な期間は6カ月から8カ月と言われた。リーグ終了前にエインセ監督が辞任を宣言したことも重なり、6月30日で契約満了となる“34歳のケガ人”について、意地の悪い人たちが引退説を噂し始めたのも無理はなかった。……

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フェルナンド・ガゴ

Profile

Chizuru de Garcia

1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。

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