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セビージャの、ボールの位置に合わせた6パターンの可変システム

2020.10.23

モンチがSDに帰還し3シーズンぶりにCLの舞台に帰ってきたセビージャ。辣腕SDの手腕が果たした功績はもちろん大きい。ただ、彼が連れてきたタレントを生かすチームの緻密な可変システムにも光るものがある。

 セビージャのフォーメーションは通常表記では[4-3-3]だ。が、この形になるのはキックオフの瞬間などほんの少しの間だけ。ボールの高さによって、守備時にはハイブロックの[4-4-2](MF1枚が1列目に出てボール出しにプレスをかける)、ミドルブロックの[4-1-4-1](ウインガーがポジションを下げセントラルMFがCBの前でセンターレーンをケアする、最も自然な形)、ローブロックの[4-2-3-1]に変化。攻撃時にはローブロックの[2-3-3-2](ボール出しにセントラルMFとインサイドMFが参加。両SBが高い位置取りでパスコースを確保。ロングパスに備えて2トップに)、ミドルブロックの[3-1-3-3]、ハイブロックの[3-2-5](フィニッシュ局面。SBとウインガーがコンビで打開。最終ラインをセントラルMFと両CBで形成)へとほぼ6通りに変化する。

 強力なサイドアタックを誇るのはアレックス・デルマスによる戦術解説の通り。両ウインガーと両SBをいかに生かすかが攻撃の設計思想となっており、ボール出しは相手のプレスを誘って一気にウインガーへ展開する速攻、SBを受け手にして中央とのコンビで前進する遅攻。いずれも最終目標は、サイドの高い位置でウインガーとSBが連係できる状況を作り出すことだ。……

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セビージャ戦術

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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