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バイエルンの大敗も解析。試合中継やリーグ公式にも登場し、浸透するドイツの「ゴール期待値」分析

2020.10.04

フットボリスタでも過去に何度か紹介したり分析記事内に登場したりしており、日本でも徐々に知られるようになってきている指標「ゴール期待値」(Expected Goal/xG)。ドイツでは現在、試合中継やリーグ公式サイト、一般メディアでもその姿を目にするようになってきているという。ここでは、あらためてゴール期待値についてまとめつつ、ドイツメディアでどのように活用されているのか、鈴木達朗さんが紹介する。

 ブンデスリーガでは、ハーフタイムや試合終了後に“xG1.3”といった形で、ゴール期待値をたびたび見かけるようになった。また、ブンデスリーガの公式サイトはこの数値の計算方法をビデオで紹介しており、9月20日付の『キッカー』誌、同23日付の『シュポルトビルト』誌もこの数値について取り上げている。

 まずは、公式サイトやメディアの紹介記事をもとに、ゴール期待値とは何なのか、あらためて説明したい。

ゴール期待値を割り出すための8つの評価基準

 大前提として、ゴール期待値という名称とは裏腹に、この値は試合中にゴールが起こる可能性を予測するものではない。端的に言えば「シュート1本あたりのチャンスの質」を査定したものだ。例えば、前半終了時点で表された数字は「前半に放ったシュートが入る確率がどれくらいあったかの総和」であって、「後半に得点が入る可能性を予測したもの」ではないことに注意しなければならない。

 ブンデス公式サイトによれば、彼らは4万本以上のブンデスリーガのシュートシーンを分析し、パターンを抽出した上でそのシュートが得点に繋がる確率を割り出しているという。

 よく知られているところで例を挙げると、PKの得点率はおよそ75%から80%と言われている。『キッカー』によれば、このゴール期待値のためにデータから統計的に割り出されたPKの得点率は76%。そのため、“Xファクター”としてPKは、チャンスの大きさ「0.76」と換算される。

 『シュポルトビルト』は、この数値を割り出す上での評価基準をわかりやすく紹介している。チャンスの質は次の8つの基準から算出されている。……

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xGゴール期待値バイエルンブンデスリーガホッフェンハイム

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。

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