8月25日、JリーグがDAZNとの放送権契約を2028年まで2年間延長すると発表した。新型コロナウイルスの影響で経済的ダメージを受けている最中の延長発表を評価する声は多い。この時期に契約延長に至った背景とは何か。また、この新契約に対する、欧米メディアの意外な反応とは。
新たに2年間、放送権契約を延長するとともに契約モデルの見直しを発表したJリーグとDAZN。この発表の少し前には、DAZNがUEFAチャンピオンズリーグ放映権のアジアマーケットを放棄するのではないかと報じられ、実際に日本でも一時、進行中だった2019-20シーズンの映像がすべて視聴不可となったことで不安が広がっていた。そうした経緯もあり、共同記者会見では双方がパートナーとしての信頼関係を強調。1年あたりの金額は減少するもののDAZN側のコミットが再確認されたことは、極めてポジティブに受け止めて間違いないだろう。
2017~2028年 放映権契約における変更内容
一方で、DAZNにとって今回の新契約は単に日本市場へのコミットメント、Jリーグとのパートナーシップをアピールするだけに留まらない、彼らの世界戦略上とても重要な思惑があった模様である。そこに自分が気付かされたのは、この発表があった直後から「新契約の内容について詳細を教えてほしい」と、欧米ライツホルダーからの問い合わせがいくつも寄せられたことによる。質問を受けただけではない。「Jリーグはなぜこのような契約を認めてしまったのか?」と、訝しがられもした。彼らにとって、一体何が問題だったのだろうか?……
Profile
利重 孝夫
(株)ソル・メディア代表取締役社長。東京大学ア式蹴球部総監督。2000年代に楽天(株)にて東京ヴェルディメインスポンサー、ヴィッセル神戸事業譲受、FCバルセロナとの提携案件をリード。2014年から約10年間、シティ・フットボール・ジャパン(株)代表も務めた。