オランダ2部リーグの2020-21シーズンが開幕し、第2節を終えた。開幕節の好ゲーム、テルスター対フォーレンダムのフィッシャーマンズ・ダービーは、アンドリース・ヨンカー監督とビム・ヨンク監督が采配の腕を競い合う展開になり、2-2で引き分けた。1部リーグ初昇格に向けプロジェクトを組んでいるアルメレ・シティは、1部常連のエクセルシオールと第2節で対戦。壮絶な打ち合いとなったゲームを6-4で制した。
フリットやクライファートの息子が活躍
昨季1位、2位となりながら、コロナ禍の影響によって昇格が認められなかったカンブールとデ・フラースハップを筆頭に、NAC、フォーレンダム、アルメレ・シティ、NEC、エクセルシオール、ローダJC、ゴー・アヘッド・イーグルスらがしのぎを削る今季の2部リーグは面白そうだ。
オランダ2部リーグの特徴の1つに“2世選手”の多さが挙げられる。ルート・フリットの息子マキシム・フリット(19)は、昨季からAZリザーブチームの一員としてオランダ2部リーグでプレーしている。CBの位置から前線や逆サイドに通す左足のロングパスは、父よりもフランク・デ・ブールを彷彿させる。彼は昨季の第3節、対ドルトレヒト戦で先発デビューしたが、88分と90分に続けてイエローカードを受けて退場した。その反省を生かし、16試合連続ノーカードを継続中だ。
パトリック・クライファートの息子、ルベン・クライファート(19)は、ユトレヒト・リザーブチームでCBを務めている。兄ユースティン(21、ローマ)に比べると背は高いが、それでも公称178cmとCBとしては小さい方。しかし、体つきはかなりがっしりしている。開幕戦を見た限りでは、あまり攻撃に参加せず、後方に残ってしっかり守るタイプのようだ。
シドニー・ファン・ホーイドンク(20)はNACとプロ契約を結んで3年目。昨年10月のNEC戦ではチームの第1ピリオド優勝を決定付けるミドルシュートを決めて、観客席の父ピエール・ファン・ホーイドンクは涙をこぼさないようにするのに必死だった。父と同じくFKも得意で、助走姿がソックリだ。今季は第2節ヘルモント・スポルト戦(0-2で勝利)の74分からピッチに入ると、アディショナルタイムに鮮やかなトラップシュートを決めた。
バルサ新監督の息子は伸び悩み中
ロナルド・クーマン・ジュニア(25、GK)はプロデビューから5年目のシーズンをTOPオスで迎えている。昨季は開幕から9試合連続でゴールを守ったが、結局12試合の出場に留まるなど、なかなかブレイクを果たせていない。今季はボー・ヘーンスとの競争に遅れをとっている。TOPオス・スタディオンは地味な施設だが、父ロナルド・クーマンが息子の応援のためにここを訪れると、一気に華やいだムードが生まれる。
マルク・ファン・ボメルの息子トーマス・ファン・ボメル(18、MVV、MF)は今後にプロデビューの期待がかかる。
最後にロバート・ミューレン(31、カンブール)について紹介しよう。父ヤン・ミューレンもフォーレンダムの選手だったが、オランダではかつての名選手ゲリー・ミューレン(故人)、アーノルド・ミューレンの甥であることで知られている。
ロバートはオールラウンダータイプの長身ストライカーで、トラップからシュートまでの移行が非常に早い。リーチが長いため、彼に体をブロックされたらDFはとてもシュートを止めることができない。ただ、シーズンによって好不調の波が大きいのが欠点だ。昨季は29試合で26ゴールとキャリアハイを記録した。昨季のオランダサッカーシーンの最終ゲームはAZリザーブチーム対カンブール。この試合で彼が決めた、鮮やかに弧を描いたボレーシュートは本当に美しかった。
Photo: Getty Images
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中田 徹
メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。