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チェルシーがコロナ禍の夏に史上最大級の補強を敢行できた「計算」と、指揮官に求められる「ノルマ」

2020.09.09

コロナ禍の影響により、7月末の閉幕から2カ月と経たず新シーズンが幕を開けるプレミアリーグ。その中で、積極的な補強を敢行してひときわ目を引くのがチェルシーだ。多くのクラブが支出を抑制する方向に動く中、これほどの巨額を投じられる理由とは。そして、厚みを増した戦力をランパード監督はどのように活用していくのか。チェルシーの動向を追い続けている山中忍さんが解説・展望する。

 昨季プレミアリーグでは、フランク・ランパード体制1年目を予想以上の4位で終えたチェルシー。今夏の移籍市場でも予想以上の動きを見せている。昨夏には移籍に関する規則違反でFIFAから戦力補強を禁じられ、処分が解けた今冬にも買わなかった1年を経て、補強が必須だったことは明白。それにしても、新シーズン開幕1週間前の9月5日までに、即戦力6人を含む7選手を獲得し、移籍金総額は2億ポンド(約270億円)を超えた。ロシア人富豪による買収で強豪に化けた2003年以降のクラブ史を振り返っても、今年ほどの資金が移籍市場に投じられた夏はない。

 結果、メディアでは「また買いたい放題が始まった」と報じられることになった。確かに、「持てる者」が多いプレミア勢の中でも、クラブ財政の先行きが心配されるコロナ禍にあって、チェルシーほど派手な補強を敢行しているクラブはない。スタッフの一時解雇や、監督や選手の給与削減などを実施しておらず、気兼ねなく移籍市場で買い物ができる立場でもある。とはいえ、17年前のように、採算を度外視して戦力アップに躍起になっているわけではない。今夏の補強にはクラブの「計算」が見て取れる。……

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チェルシーティモ・ベルナーハキム・ツィエクフランク・ランパードプレミアリーグ

Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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