コロナ禍のクラブへの影響:バイエルン
決勝戦でパリ・サンジェルマンを下し7シーズンぶり6度目となるUEFAチャンピオンズリーグ制覇、そして2度目の3冠を達成したバイエルン。ピッチ内での圧倒的なパフォーマンスが目を引いた彼らだが、コロナ禍に揺れた中、ピッチ外で見せた振る舞いもまた、王者に足るものだった。
世界が未曽有のコロナ危機に直面する中で、バイエルンは素晴らしい取り組みを続けた。御多分に漏れず、無観客試合などによる収入の大幅な減少は免れないものの、3月にはドルトムント、RBライプツィヒ、レバークーゼンと共同で財政難のクラブを救うべく計2000万ユーロ(約25億円)を、さらに5月下旬にはキミッヒとゴレツカが立ち上げた基金『WeKickCorona』に25万ユーロ(約3100万円)を寄付した。25万ユーロに関しては、バイエルンのオリジナルマスク販売による収益だ。このマスクはドイツでも特に経済損失が深刻な地元バイエルン州の企業に製造を発注したもので、サッカー界以外への社会貢献にも尽力している。
クラブも、選手も積極的に
クラブのチャリティ団体「バイエルン・ヒルフェ」を通じて、アマチュアサッカーと大衆スポーツに対する寄付も行っている。無観客試合によるチケットの払い戻しを辞退したファンの献身で発生した資金を懐に収めずに、レギオナルリーガ・バイエルン地区の18クラブに各2万ユーロ(約250万円)、バイエルン州スポーツ協会に10万ユーロ(約1250万円)を支援した。この財政援助について、バイエルン・ヒルフェのカール・ホプフナー会長は次のように述べている。……
Profile
遠藤 孝輔
1984年3月17日、東京都生まれ。2005年より海外サッカー専門誌の編集者を務め、14年ブラジルW杯後からフリーランスとして活動を開始。ドイツを中心に海外サッカー事情に明るく、『footballista』をはじめ『ブンデスリーガ公式サイト』『ワールドサッカーダイジェスト』など各種媒体に寄稿している。過去には『DAZN』や『ニコニコ生放送』のブンデスリーガ配信で解説者も務めた。