SPECIAL

久保建英。チームの主役に駆け上がった過程と、新天地ビジャレアルでの展望

2020.08.22

日本人「欧州組」の19-20 総括_特別編#2

発売中の『フットボリスタ第80号』では、主要リーグおよびチームの2019-20シーズンを戦術面から分析するとともに、海外日本人選手の1年について総括的にプレイバックしている。今回はスピンオフ企画として、特に印象深い活躍を披露した日本人選手のプレーぶりについてより深く考察する。

2人目は久保建英。マジョルカを残留に導くことこそできなかったものの、シーズンを経るごとに序列を上げチームの中心選手となったその進化の過程と、新シーズンに加入するビジャレアルでの見通しについて、木村浩嗣さんに分析してもらった。

 リーガで出場時間2308分、35試合出場でうち23試合が先発、特に2月21日以降はチームの降格が決まる第37節まで13試合連続で先発した。ビセンテ・モレーノ監督が彼を残留のカギと見なしていたことがわかる数字だ。4アシスト、4ゴールが「あれ、こんなものだっけ」と思うほど久保の存在感は大きかった。これまでリーガで何人もの日本人を見てきたが、チーム内でのヒエラルキーを1年でこれほど駆け上った選手はいない。

 レギュラーを奪ってシーズンを終えた選手はいた。例えば、リーガ1年目の乾貴士はエイバルの戦術を理解し守備の欠点を克服して、徐々に先発に定着していった。その後2年目、3年目にメンディリバル監督の絶対の信頼を得て絶対のレギュラーになったのはご存じの通り。が、久保はその先を行った。2、3月の3試合に2ゴール、1アシストを記録。そこでリーガ中断になり良い流れを断ち切られたかと思ったが、3カ月後の再開後の方がむしろ調子が上だった。……

残り:3,273文字/全文:3,957文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

ウナイ・エメリビジャレアルマジョルカ久保建英

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

関連記事

RANKING

TAG

関連記事