SPECIAL

1億ユーロ損失に2010-11 以来の赤字転落。“世界一裕福なクラブ”バルセロナが直面する厳しい現実

2020.08.15

コロナ禍のクラブへの影響:バルセロナ

CL準々決勝バイエルン戦で歴史的惨敗を喫し、2013-14シーズン以来となる主要タイトル無冠が確定したバルセロナ。首脳陣は組織改革を示唆する発言を残したが、ピッチ外の状況も芳しいものではないコロナ禍により打撃を受けた経営の現状を振り返っておきたい。

 コロナ禍がクラブの経営に大きなダメージを与えていることは、スペイン政府の企業救済措置「ERTE」(一時的雇用調整)に飛びついて、選手に70%の年俸ダウンを強いつつ失業保険の給付を受けることで従業員の雇用を何とか確保したことからわかった。だが、そのダメージは一体いかほどなのか?

 5月初めのジョルディ・カルドネル経済担当副会長の言葉によると、マッチデー収入(入場料収入+スタジアム&ミュージアムツアー)が5000万ユーロ減、コマーシャル収入(グッズ販売、スクールの授業料など)が2000万~2500万ユーロ減、放映権料が3900万ユーロ減で、その他をもろもろ含めると損失額は「1億2000万~1億4000万ユーロ」(約120~175億円)にも達する、ということだった。あれから状況は好転しリーガは再開され終了したので、このうち放映権料が満額受け取れているとすると、差し引き8000万~1億ユーロ(約100~125億円)のマイナスとなる計算だ。……

残り:1,808文字/全文:2,370文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

バルセロナ経営

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

RANKING