ストライカー×チーム戦術のケーススタディ:ラツィオ
FWの選手にも得点以外の様々な戦術的タスクが課されるようになった現代サッカー。ただ、それぞれが与えられる役割やその程度はチームの方針や個人の特徴によって変わってくる。チームの戦術の中でストライカーは何を求められプレーしているのか、明らかにしていく。
両足ともに正確で、膝から下の振りが非常にシャープなシュート。DFを振り切るスピードにゴール前の嗅覚、そして巧みなヘディング――ストライカーとしての能力はユベントスの下部組織時代から高く評価されていたチーロ・インモービレだったが、ラツィオに移籍する前は調子の波を払拭できずにいた。ペスカーラ(セリエB)、トリノなどでシーズン得点王を獲得したかと思えば、シーズン10ゴールを超えられないシーズンを送る。エリア内の密集を剥がす技術まではなく、ポストプレーもいま一つで、CFとしては機能させづらい選手だった。
だが、チーム事情と戦術が自らの持ち味を発揮するに相応しい環境にある時、この男は得点を量産する。ラツィオで公式戦100ゴールに達し、現在も得点ランキングトップを走る秘訣は、そこにあるのだ。……
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。
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