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スポーツとテクノロジーをつなぐ 「SPORTS TECH TOKYO」の挑戦

2020.06.18

近年、リバプールやバルセロナなどのメガクラブはクラブ内に研究部門を設立し、スポーツとテクノロジーの融合に取り組んでいる。その一方で、彼らの真似ができないクラブに手を差し伸べ、その手をテクノロジーへと繋ごうとしているプラットフォームが日本に存在する。それが「SPORTS TECH TOKYO」(@sportstechtokyo)だ。そのビジネスプロデューサーおよび、プロジェクト内でさまざまな団体との連携を産み出すコミュニティ・マネージャーを務める白石幸平氏に、設立の経緯から事例まで詳しく活動内容を聞いた。

日本にスポーツテックが必要な理由

――まずは、SPORTS TECH TOKYOと白石さんの関わり方について、簡単にご紹介いただけますか?

 「はい。SPORTS TECH TOKYOは、電通が主催する『スポーツ×テクノロジー』をテーマに行うアクセラレーションプログラムです。スタートアップを支援しつつ、同時にプログラムに参加する企業・団体に対してはオープンイノベーションの場(プラットフォーム)として機能している点が特徴です。わかりやすく言うと、スポーツを起点にしたビジネス開発を行っていく活動をしているということですね。私自身は、その中で事業開発ビジネスプロデューサーおよびコミュニティ・マネージャーを担当しています」

――いつからそのプログラムを始めているんですか? 誕生した経緯についても聞かせてください。

 「このプログラムが始まったのは2018年の10月です。当時日本はラグビーW杯の開催を翌年に控えており、2020年には東京五輪、2021年にはワールドマスターズゲームズを行う予定でした。そうした状況を踏まえ、スポーツを活用したビジネス開発のニーズを感じたことがきっかけです。また、それ以前からスポーツ庁は『する』『みる』『ささえる』を唱え、2025年までにスポーツ産業を15.2兆円の市場にする目標を掲げていました。スポーツという言葉を聞くとまず『みる』――いわゆるプロスポーツを思い浮かべてしまうんですけど、スポーツ産業は普段目につく部分以外にも、『する』『ささえる』といった領域があり、市場の拡がりがあります。

 これらの領域にITを始めとするテクノロジーを適切に掛け合わせることができれば、スポーツ産業の外郭にある、さまざまな産業との融合を促進させることができ、市場はさらに広げられる。スポーツ庁が目指す15.2兆円市場計画も、まさにこうした考え方に基づいています。また、他産業と融合するということは、反対から見れば、あらゆる産業がスポーツを取り込みビジネス開発をしていくということ。電通にはクライアントからビジネス開発の相談が多く寄せられていたこともあり、スポーツ×テクノロジーをテーマにしたビジネス開発プログラムを立ち上げることになりました」

――つまり、SPORTS TECH TOKYOはテクノロジー側からスポーツビジネスを拡大しようとしていると。

 「そうですね。国として掲げている産業の成長や世界の潮流を鑑みた時に、テクノロジーがやや閉鎖的な日本のスポーツ界において、課題解決策として貢献でき得ると考え、切り込もうとしています」

――そうした意図がある中で、具体的にどのような活動をされていますか?

 「まず、世界の優れたスタートアップを支援するアクセラレーションプログラムを実施して、大きな反響を得ました。また、そのプロセスで世界中の多様なプレーヤーに参画いただき、今ではSPORTS TECH TOKYOを軸とした強固なビジネスネットワークができています。その1つがスタートアップです。世界33カ国のスタートアップ約300社から応募があり、その中で選考を行って『ファイナリスト』と『パーティシパント』の2種類に区分しました。彼らとは今後5~10年を担うビジネスコミュニティを作り上げたいという想いがありまして、最後まで残った7カ国12社のファイナリストの他に、1次選考を突破した159社をパーティシパントとして迎え入れています。彼らの事業成長を支援しているのが、パートナー企業です。そのネットワークを活用する形で、事業開発、技術実証、アライアンス、JV設立など、多様なプロジェクトを進めています」

――スポーツ側の関係者も参加しているんですよね。

 「はい。スポーツリーグやチームのキーパーソンを含め、幅広く参加をしていただいています。クラブ・球団のCTO(最高技術責任者)や現場のコーチングスタッフ、事業会社のスポーツビジネス担当者にメンターとして参加していただいており、様々な切り口でスポーツを見られるようにしています。その他、いわゆるスポーツ関係者だけではなく、メディアや弁護士事務所などのプロフェッショナルにも参加していただいています」

テクノロジーとスポーツの「マッチング」

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Profile

浅野 賀一

1980年、北海道釧路市生まれ。3年半のサラリーマン生活を経て、2005年からフリーランス活動を開始。2006年10月から海外サッカー専門誌『footballista』の創刊メンバーとして加わり、2015年8月から編集長を務める。西部謙司氏との共著に『戦術に関してはこの本が最高峰』(東邦出版)がある。

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