イタリアでセリエA、Bのシーズン再開が相次いで決まる中、再開について決定を保留にしていたセリエCが、6月8日に処遇を決めた。レギュラーシーズンを打ち切って順位を決定する一方、プレーオフとプレーアウトは開催することになった。
7月にプレーオフ&プレーアウト実施
総勢60チームが全国で3つのグループに分かれて争う3部のセリエCは、新型コロナウイルス感染症の拡大により3月10日から中断となっていた。その処理が注目される中、イタリアサッカー連盟は8日のビデオ会議で打ち切りを正式に決定した。
各グループとも9試合から11試合まで未消化の日程を残していたが、レギュラーシーズンそのものは日程を完遂できないため中止。そして中断時点での勝ち点に、ホームとアウェイそれぞれの平均勝ち点数に残り試合数を掛けた数を加えた数値に従って順位を決定した。
規定に従い、各グループ首位はセリエB昇格、またそれぞれの最下位はセリエDへ自動降格。また各グループの2位から10位までが昇格を争うプレーオフに、16位から19位までのチームが降格を争うプレーアウトを争うことになった。
プレーオフ並びにプレーアウトは7月1日から順次開始。各グループ4位から10位までのチームはグループ内で予選を行い、勝ち上がった各2チームと各グループ2、3位のチーム、並びにコッパ・イタリア・セリエCの勝者が加わった計13チームが7月9日からの全国プレーオフに参加する。そして22日の決勝でセリエB昇格の最後の一枠が決まる。
中村俊輔の古巣もセリエB昇格
さて、いち早くセリエB昇格を決めた3チームは、それぞれサッカーファンなら注目に値する顔ぶれだ。
グループAの首位は、あのシルビオ・ベルルスコーニ氏とアドリアーノ・ガッリアーニ氏らが共同オーナーを務めるモンツァ。ブロッキ監督の下、セリエA参戦経験のある優秀な選手たちを集め、中断前まで圧倒的な戦績を誇った。
グループB首位は、コッパ・イタリアを制した経験のあるビチェンツァ。パルマやキエーボ、サンプドリアで指導経験のあるディ・カルロ監督が安定した成績をもたらした。
そしてグループC首位でセリエB昇格を決めたのは、かつて中村俊輔が所属していたレッジーナ。2014年にセリエCに降格してからは、一連の会計不正処理により勝ち点12のペナルティを受けたり、オーナーに計画倒産の疑いがかかって練習場の差し押さえを受けたりと、クラブの存続さえ危ぶまれるような状態が続いた。
しかし2019年1月、ローマ出身の投資家ルカ・ガッロが会長に就任すると経営は安定。2年目の今季、6年ぶりとなるセリエB昇格が決まった。現役時代はミランやアタランタ、そしてレッジーナでもプレー経験のあるタイービSDは「とてもうれしくて、妻とともに泣いた」と昇格を喜んだ。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。