4月にお伝えした2つのニュースに関する最新情報が入ったので更新しておこう。
まずリーガの活動再開から。前回の記事でお知らせした通り、5月4日からプロスポーツ選手のグラウンドを使っての個人練習がスタートした。当初は事前に配布されたメニューをこなすだけの練習で、テクニカルスタッフは参加しない予定だったが、監督の立ち会いのみ許されることになった。
PCR検査は今週末に実施予定
二転三転した選手への事前のPCR検査も結局は許可された。リーガの各クラブは6日から8日にかけて検査を実施し、陰性の選手のみが週明けの5月11日から個人練習を始める。陽性の選手は無症状なら14日間の隔離生活に入り、症状があれば病院へと振り分けられることになった。
PCR検査については、政府は練習再開決定後でさえ「サッカー選手への特権を許さない」と禁止の意向を維持していたが、「陽性の可能性が残る状態では練習できない」という当然の反論を受け、最終的には許された。
そもそも、私企業であるラ・リーガが独自に購入したテストキットを使わせない、という言い分は理にかなっていなかった。自動車メーカー大手『SEAT』が工場生産を再開する際には、従業員2500人へのテストは認めていたのだから、検査をさせない理由はどこにもない。散歩すら禁止、という極めて厳しい措置を採りながら感染爆発を食い止められなかった政府の迷走ぶりを、改めて証明する形になった。
コパ・デルレイは8月開催案も
次にコパ・デルレイの決勝について。史上初のバスクダービーとなったアスレティック・ビルバオとレアル・ソシエダの決勝戦は、ぜひ通常開催したい、という連盟の強い意向があって来年4、5月まで延期される予定だった。
だが、ここにきて8月までに無観客で開催する、という案が浮上してきた。というのも、UEFAが「8月3日までに未開催の場合、UEFAヨーロッパリーグ(EL)最後の出場枠はリーガ7位のチーム(現状ではバレンシア)に与える」と決定したからだ。
UEFAに提出した連盟の案では「決勝未開催の場合、決勝進出チームのうちどちらか一方が欧州カップ戦出場権者だった場合は、もう一方のチームにEL出場権を与える」となっていた。
これだと現在4位のソシエダはCL出場権圏内にあるので、決勝に敗れてもアスレティック・ビルバオはEL出場権が保証されていた。だが、今回の決定によってアスレティック・ビルバオは優勝する以外にEL行きがなくなったため、慌てて無観客での決勝開催を模索し始めたのだ。
アスレティック・ビルバオは現状10位。リーガ再開となれば、こんな駆け引き抜きでも自力出場の道が残っている。誰もが納得する結果を得るには、やはり再開しかない。
Photo: Getty Images
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。