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オランダサッカー界に影響を与える50人のインフルエンサーたち

2020.04.19

 オランダのサッカー専門週刊誌『フットボール・インターナショナル』は4月15日号で「オランダサッカー界のインフルエンサー」という特集を組んだ。中でも目玉の企画は「インフルエンサートップ50」というランキングだ。これは選手、指導者、クラブ首脳陣、レフェリー関係者、商業の専門家などサッカー関係者計75名の投票によるもの。ここでは1位から10位までのインフルエンサーを紹介しよう。

1位 ミーノ・ライオラ(代理人)
2位 ロナルド・クーマン(オランダ代表監督)
3位 ヨハン・クライフ(元オランダ代表/故人)
4位 エドウィン・ファン・デル・サール(アヤックスCEO)
5位 フィルジル・ファン・ダイク(リバプールDF)
6位 エリク・フッデ(KNVBプロサッカー部ダイレクター)
7位 マルク・オーフェルマルス(アヤックス・フットボールダイレクター)
8位 マルコ・ファン・バステン(解説者)
9位 ルイ・ファン・ハール(指導者)
10位 フレンキー・デ・ヨンク(バルセロナMF)

ライオラはPSVとも深い関係に

 現在のオランダサッカー界で最も影響力を持つインフルエンサーには、多くのスーパースターを抑えてライオラが選ばれた。ズラタン・イブラヒモビッチ(ミラン)やポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)など、名だたる世界的スターたちの代理人を務めるライオラは、サッカー界ではすでにブランド的な存在だ。

 マタイス・デ・リフト(ユベントス)、カルビン・ステングス、マイロン・ボアドゥ、オーウェン・ワインダル(いずれもAZ)、ドンイェル・マーレン、モハメド・イハターレン(ともにPSV)、ユースティン・クライファート(ローマ)といったオランダ人タレントたちが、次々にライオラと契約を交わしている。ノルウェー人ストライカーのアーリング・ブラウト・ハーランドもまたライオラの顧客だ。

 ライオラはPSVに深く入り込んでおり、マルク・ファン・ボメルが監督を努めていた頃は試合が終わると更衣室から出てくることもあったほどだ。

クライフの影響は未来永劫続く

 24位には1995年のボスマン判決で知られるジャン・マルク・ボスマンが入った。この裁判によって契約の切れた選手は自由に移籍することができるようになった上、EU国籍を持つ選手はEU圏内なら国内選手として扱われることになった。

 ボスマン判決は欧州サッカー界に大きなインパクトを与え、とりわけ草刈場となったアヤックスは主力選手が一気に抜けてしまった。しかし、オランダサッカー界はより育成に力を入れ、移籍市場で大きな利益を得るようになった。

 この過程で、欧州サッカー界では巨額のお金が動くようになり、巨大産業となった。1位のライオラ、12位のロブ・ヤンセン、46位のケース・フォスといった代理人がインフルエンサーのトップ50に入ったのも、今から25年前のボスマン判決の恩恵を受けていると言えるのではないだろうか。

 将来、オランダサッカー界に大きな影響を与え得るのは、どのような人物だろうか。『フットボール・インターナショナル』誌で記事を振るうピーター・ズワルト氏は特集の中で「データーに精通したクラブ首脳陣」「ラップトップトレーナー」「女性」がいずれランキングに入ってくると予想している。

 インフルエンサーは時とともに変わってくるもの。しかし、ヨハン・クライフ、そして20位のリヌス・ミヘルスは今後もランクに入り続けるだろう。例えば、ビム・ヨンクはクライフの思想を継いでフォーレンダムを率い、オランダ2部リーグで旋風を起こしている。クライフやミケルスのサッカーに対する思想はオランダサッカー界から未来永劫失われるものではなく、まさにインフルエンサーとしてふさわしいものだ。


Photo: Getty Images

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中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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